評価・レビュー!疑問に答えを提示する良著。作:溝口睦子の「アマテラスの誕生」

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「評価・レビュー!疑問に答えを提示する良著。作:溝口睦子の「アマテラスの誕生」」

2013年08月12日

古事記・日本書紀の知識がないと楽しめないが、文章は分かりやすく、これまでシックリとしていなかった部分にスカっと風を通すような本でした。
要約
伊勢神宮アマテラス天皇の祖先として祭られているが、アマテラスが皇祖神としてまつられたのは古事記が成立する直前で、それまではタカミムスヒだった。タカミムスヒは朝鮮経由の北方ユーラシアの神と著者は推察する。
●400年に高句麗に負けたことから、新しい神を擁立した。それがタカミムスヒ。タカミムスヒは太陽神であり、天をつなぐ神であり、天孫降臨でニニギを地上に使わす「主役」だった。その痕跡があげられている。
●天武天皇によってアマテラスは皇祖神になったが、それ以前は一地方の太陽神に過ぎなかった。その痕跡が著書の中であげられている。
●臣・連・君は旧来の神とタカミムスヒの神に関わる士族を分けるものだった。記紀で登場する回数から、天武天皇が考えていた国家像を考える。
評価
アマテラスとタカミムスビ(=高木神)の関係に関してモヤモヤとしている人が読むとスっとするし、その他の諸関連事項に関しても、あまり見かけない話が書いてあって面白い。

国家の神が天皇によって変えられる。これが事実だとすると、私が長いこと抱いていた「飛鳥時代など、なぜ神道の親玉である天皇が仏教を率先して受けいれたか?」という疑問に答えるものです。もともと天皇は神そのものではなく、神に仕えるもので、その神を割りと簡単に変えられるという側面があった――というよりはハードルが低かったのでしょうね。

ところで、シックリ来ないところもあります。タカミムスヒが朝鮮由来の神という点です。別に朝鮮でなくて北方ユーラシアなんですが、どちらにしても、シックリこない。

記紀を読んでいると東南アジアやオセアニアの神話によく似たものが見られます。はてはギリシャ神話に酷似している物語もあります。でも北方ユーラシアの神話とは似てない。そりゃまぁ、著者のいうように「天」という概念を輸入したかもしれない。しかし距離的にこれだけ近い朝鮮半島の神話よりギリシャ神話に日本の神話が似ているなんて、幾らなんでもおかしい。

個人的には樹霊信仰かつ太陽神は元々いて(これはおそらく中国南部か東南アジアが元ネタと推察)、そこに「天」の概念を付け加えたのがタカミムスヒなんじゃないかと、思う。

もっと言うなら日本の神話の起源はオセアニアや東南アジアであり、ギリシャ神話が流れてきたのは海のシルクロード経由でしょう。宗像三女神沖ノ島にはササン朝ペルシャのガラス片が見つかっています。

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