死者の国の食べ物を食べると現世に戻れない理由

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死者の国の食べ物を食べると現世に戻れない理由

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物語・由来

黄泉戸喫」に見られるように、日本だけでなくギリシャ神話にも「死者の国の食べ物を食べると現世に戻れない」という設定が見られます。
共食について
よく「同じ釜の飯を食う」という表現をします。生活を共にした、という意味です。では「同じ釜の飯を食った」から、なんだと言うのでしょうか??

古代では集落が大きくなるにつれ、職業の分化がハッキリしてきます。農家は農家。機織り機織り。大工は大工。昔は一人が複数の仕事をこなしていたのが、専業するようになります。それはつまり、他者に生活を依存するという事です。

例えば大工。家が無いと生活が出来ませんから、集落では重宝します。それで仕事が集中して、大工仕事だけで生活するようになったとします。でも、重宝される大工でも何かの拍子に村八分にあうと生活が一切成り立たなくなります。なぜかというと「専業」大工は米を造られないからです。まだ農家の傍らに大工仕事をやっているうちには米も自給自足できましたが、分業・専業が進むとそうは行きません。だから、分業・専業というのは実質、「生活を他者に完全に依存する」わけです。

そういう集落では全員が互いに依存し合って生きている事になります。「同じ釜の飯を食う」つまり「共食関係」にあるということは、集落に属し、集落の中で生活し、大工なら大工として集落に貢献する、という証明であり、契約関係にあるという言い方も出来ます。

現在のように通貨があってお金を払えばそれで何でも手に入る時代ではありませんから、「飯を食うだけ」というのは成立しません。これは集落からすれば裏切りです。飯を食い、そして集落に何かしらの貢献をする。その約束事が「共食」です。

だから死者の国で食事をすると現世には帰れないわけです。食事をするということは死者の国に属し、死者の国に貢献するという契約を交わしたようなものだからです。

日本書紀には雄略天皇が「呉人」と「群臣」と食事した、とか、河内漢直が新羅人と食事した、とか書いてあります。
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