儲弦を髪の中へ、木刀を佩け

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神功皇后(二十一)儲弦を髪の中へ、木刀を佩け

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原文

時武內宿禰、令三軍悉令椎結、因以號令曰「各以儲弦藏于髮中、且佩木刀。」既而乃舉皇后之命、誘忍熊王曰「吾勿貧天下、唯懷幼王從君王者也。豈有距戰耶、願共絶弦捨兵、與連和焉。然則、君王登天業、以安席高枕、專制萬機。」則顯令軍中悉斷弦解刀、投於河水。忍熊王信其誘言、悉令軍衆解兵投河水而斷弦。爰武內宿禰、令三軍出儲弦更張、以佩眞刀、度河而進之。忍熊王知被欺、謂倉見別・五十狹茅宿禰曰「吾既被欺、今無儲兵、豈可得戰乎。」曳兵稍退。

現代語訳

武内宿禰(タケノウチノスクネ)は三軍(ミムロノイクサ=大軍のこと)に命令して、全員が椎結(カミアゲ=槌のように髪を結うこと=降伏の意味)をしました。それで命令しました。
「それぞれの儲弦(ウサユズル=控えに持った弓の弦)を髪の中に収めて、木刀(コダチ)を身につけろ」
準備が終わったら皇后の命令をあげて、忍熊王(オシクマノミコ)を誘い騙そうと言いました。
「吾(ワレ)は天下を貪るつもりは無い。ただ幼い王を抱いて君主に従おうとしているだけだ。どうして戦わなくてはいけないのか。願わくば、ともに弓の弦を断ち、兵(ツワモノ=兵器)を捨てて、和睦しようではないか。そうして君主は天業(アマツヒツギ=天の仕事=天皇の業務)を行い、安らかに(王の)席に座り、枕を高くして、専万機(タクメヨロズノマツリゴト)を行える」
それから、軍に命令して全ての弦を切り、刀を解き、河水(カワ)に投げ入れました。忍熊王(オシクマノミコ)はその誘い騙す言葉を信じて、全員の軍衆(イクサビト=兵士)に命令して、兵(ツワモノ=兵器)を河水(カワ)に投げ入れて、弦(ユズル)を切らせました。
すると武内宿禰(タケノウチノスクネ)は三軍(ミタムロノイクサ)に命令して、(髪の中に隠しておいた)控えの弦を出して、張って、真刀(マサヒ=真剣)を帯刀しました。河を渡って進みました。忍熊王は欺かれたことを知って、倉見別(クラミワケ)・五十狹茅宿禰(イサチノスクネ)に言いました。
「私は騙された。今、予備の兵器は無い。どうして戦えるだろうか」
兵を引き、退きました。
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解説

木刀と真剣を取り替え、
予備の弦を隠して弓の弦を切る

武内宿禰は兵に命じて、予備の弦を髪の中に隠させた上で弓の弦を切らせ、木刀に取り替えさせた上で、その木刀を川に捨てさせました。つまり、丸腰を偽装したわけです。

似たような話がすでにありました。古事記の「ヤマトタケルとイズモタケル」「刀を取り替える策略」での木刀と真剣の取り替え、もしくは「崇神天皇(二十二)イズモノフルネ(日本書紀)」での出雲振根(イズモノフルネ)です。

おそらく「木刀と真剣を取り替えて罠に嵌める」という物語が日本にはスタンダードにあったのでしょう。それが地域によってバラエティが出た。その一つが出雲での木刀と真剣の取り替え。そしてもう一つが宇治川での木刀と真剣、弓の弦の偽装です。
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