久氐(クテイ)・彌州流(ミツル)・莫古(マクコ)

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神功皇后(二十九)久氐(クテイ)・彌州流(ミツル)・莫古(マクコ)

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原文

卌六年春三月乙亥朔、遣斯摩宿禰、于卓淳国。斯麻宿禰者、不知何姓人也。於是、卓淳王末錦旱岐、告斯摩宿禰曰「甲子年七月中、百濟人久氐・彌州流・莫古三人、到於我土曰『百濟王、聞東方有日本貴国、而遣臣等、令朝其貴国。故、求道路以至于斯土。若能教臣等令通道路、則我王必深德君王。』時、謂久氐等曰『本聞東有貴国、然未曾有通、不知其道。唯海遠浪嶮、則乘大船、僅可得通。若雖有路津、何以得達耶。』於是、久氐等曰『然卽、當今不得通也。不若更還之備船舶而後通矣。』仍曰『若有貴国使人來、必應告吾国。』如此乃還。」
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現代語訳

即位46年春3月1日。斯摩宿禰(シマノスクネ)を卓淳国(トクジュンノクニ)へ派遣しました。
斯麻宿禰(シマノスクネ)はどういう姓の人かは分からない

卓淳王(トクジュンノコキシ)の末錦旱岐(マキムカンキ?)は斯麻宿禰(シマノスクネ)に言いました。
「甲子の年の7月の中旬に百済人の久氐(クテイ)・彌州流(ミツル)・莫古(マクコ)の三人がわたしの土地に到着して言いました。
『百済の王の東に日本(ヤマト)の貴国(カシコキクニ)があると聞いて、臣下達を派遣して、その貴国(カシコキクニ)に詣でようと思う。それで道を探して、この国に到着した。もし、臣下達に道を教えて、道路を通せば、我が王(=百済王)は必ず、深く君王(=卓淳王)にお礼をしよう』
そのとき久氐(クテイ)たちに言いました。
『元々から東に貴国があるということは聞いている。しかし、まだ通うこと(=国交)はないし、その道も知らない。ただ、海は遠く、波は険しい。大きな船に乗れば、通うことは出来る。もし、路津(ワタリ)があっても、どうやって至ったらいいか?分からない』
それで久氐(クテイ)が言いました。
『それならば、今のところは通うことは出来ないのですね。しかし(百済の国に帰って)船舶を準備して国交を結ぶことにしよう』
また久氐(クテイ)が言いました。
『もし、貴国の使者が来ることがあったら、私の国に告げてください』
そう言って帰りました」
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解説

卓淳国
卓淳は新羅と接していた国で、加羅諸国。交通上の要衝。九州→壱岐→対馬を直線で結んだ先にある国。どー考えても、日本が朝鮮半島に進出する上で重要な貿易港となったはず。

魏志倭人伝には「朝鮮半島の南部は倭人が住んでいた」とある以上は、この加羅の地域は倭人の文化圏だった可能性は高い、というか、そう考えるほうが自然。しかし、卓淳の王の名前が「マキムカンキ」か「ミシムカンキ」かははっきりしないのですが、和風の名前ではないので矛盾する。

加羅地域は俗に言う「弁韓」というやつで、三国志・弁辰伝には「言語は馬韓(のちの百済)とは違うが、辰韓(のちの新羅)と似ていた」とし、後漢書では「辰韓(のちの新羅)と風俗は似ているが、言語は違っていた」とある。どっちなのか分からない。似ているのか、違うのか?

日本書紀には朝鮮の王の子息が日本に人質としてやってきて、その後、朝鮮半島に帰って王や有力者になるという話が見られるし、任那日本府があったということを考えると、卓淳の王は朝鮮人だが日本の傀儡政権ということかもしれないし、そもそも『加羅は日本とも朝鮮とも違う文化圏』という可能性もある。少なくとも、遺物などから考えると加羅(弁韓)は新羅(辰韓)とは文化が違う。

そう考えると加羅は新羅とも百済とも違う文化圏で、マキムカンキも朝鮮語ではない、もしくは一部が朝鮮語だが、名前は加羅風と考えるべきじゃないかと。

もちろん朝鮮の人は加羅は「朝鮮人の国」と主張しています。
百済と船
日本人は海洋民族であり、古くから朝鮮には渡っていたはずです。しかし、百済の支配者は扶余という北方騎馬民族。新羅は三国志によると「秦の時代に逃げてきた人」の集団。彼らは「船での通商」が出来ていなかった、のかもしれません。もしくは、船を自前でも持つほど国が豊かではなかった、のかもしれません。多分後者です。

三国志を読むと、馬韓・辰韓は複数の国で構成された「地域」でしたが、この地域の民の数は邪馬台国一国より少なかったのです。邪馬台国は大国ではありません。あくまで一地域の有力国です。大国ならば、「どこに邪馬台国があるのか」で議論なんて起きません。だから、百済も新羅もこの時点では貧しい国だったはずです。

船で行けなくもないが、貧しいから準備とか考えると躊躇する。そういう距離だった、と考えるべきでしょう。
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