やすみすし 我が大君の 遊ばしし 猪の 病み猪の うたき畏み 我が逃げ登りし あり丘の 榛の木の枝

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やすみすし 我が大君の 遊ばしし 猪の 病み猪の うたき畏み 我が逃げ登りし あり丘の 榛の木の枝

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書き下し文

また一時、天皇、葛城の山の上に登り幸しき。爾くして大き猪出でき。即ち、天皇鳴鏑を以ちて其の猪を射し時に、其の猪、怒りて宇多岐依り來たり【宇多岐の三字は音を以ちてす】。故、天皇、其の宇多岐を畏みて、榛の上に登り坐しき。爾くして歌いて曰く、
夜須美斯志 和賀意富岐美能 阿蘇婆志斯 志斯能 夜美斯志能 宇多岐加斯古美 和賀爾宜能煩理斯 阿理袁能 波理能紀能延陀

現代語訳

ある時のことです。天皇は葛城の山の上に登りました。すると大きな猪が出てきました。天皇は鳴鏑(ナリカブラ)でその猪を射ったときに、その猪は怒って宇多岐(ウタキ=怒って唸るという意味かと思われるが詳細は不明)してやって来ました。天皇はその宇多岐(ウタキ)を恐れて榛(ハリ=ハンノキ=カバノキ科ハンノキ属の広葉樹木。湿地にも生える)の上に登って座りました。それで歌いました。
やすみすし 我が大君の 遊ばしし 猪の 病み猪の うたき畏み 我が逃げ登りし あり丘の 榛の木の枝
歌の訳(「やすみすし」は我の枕詞)我が大君が、狩りをした猪が、傷付いて病んだ猪が、怒って唸った。それが怖くて、私が逃げて登った、あの丘の榛の木の枝よ
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解説

歌は従者の目線ですよね
歌は「私の大君が狩りをして、猪が傷付いて怒って、やって来たから、私が逃げた。そんで木に登った。助かった」という歌ですから、上司がやったことで私がえらい目に会うって話です。そういうコミカルな歌があったんでしょう。大君ってのは別に天皇のことではなく、どこかの王のことです。
天皇と葛城氏
この舞台となったのが葛城の山。歌の内容はともかくとして、物語としては雄略天皇が猪に追われて木の上に登るってことですから、天皇が猪に負けたということになります。天皇だって猪は怖い。ここでの猪は本当の「猪」ではなく、当然山の神を表しています。つまり葛城の神に天皇が追い立てられるわけです。これは天皇が葛城氏に追い立てられるということです。

仁徳天皇から続く葛城氏の強権に雄略天皇は立ち向かった。そうして時代を開こうとした。それでも葛城氏の権勢は強い。次のページでは「雄略天皇」と「葛城の神の一言主」の話があり、そこでは雄略天皇と一言主はこのページよりは一方的にやられる関係ではありません。

それで具体的にどうやって権勢を削いだのかというと「宇多弖な物言いをする王子だ。」での葛城氏の市辺忍歯王(イチノベノオシハノミコ)の殺害です。
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