蚕の事・蜾蠃は誤解して嬰児を集める

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雄略天皇(二十)蚕の事・蜾蠃は誤解して嬰児を集める

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現代語訳

(即位6年)3月7日。天皇は后妃(キサキミメ)たちに自ら桑を摘ませて、蚕のことを進めようと思いました。そこで蜾蠃(スガル)という人物に命じて国内の蚕を集めさせました。
蜾蠃は人名で須我屢(スガル)と読みます。

蜾蠃は間違って嬰児(ワカゴ)を集めて天皇に献上しました。天皇は大笑いして、嬰児を蜾蠃に与えて言いました。
「おまえが養え」
蜾蠃は嬰児を宮墻(ミヤノミカキ)のほとりで育てました。それで姓を貰って少子部連(チイサコベノムラジ)としました。

夏4月に呉国へ使者を派遣して貢ぎ物を献上しました。
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解説

蚕の事と蜾蠃
蚕は当然、絹を吐き出す虫です。蚕に関する記述はこれ以前からあり、ここで蚕が伝わったということではありません。雄略天皇が妃たちに桑を摘ませて蚕の事を進めようとしたというのは、どうも農業儀式を新しく作ろうと考えての事のようです。この儀式は万葉集にも見られます。

蚕の儀式を行う、ということは蚕・絹の生産を天皇が管轄するという宣言に等しい訳です。蚕を飼って絹を生産するために、朝廷の許可を得る必要がある、朝廷に絹を生産するために「権利金」というか税金を納めなくちゃいけなくなる、そういうことじゃないかと思います。そういう記述は無いんですが、蚕の儀式を行うというのは、そういうニュアンスがあったのでしょう。

そもそも、どうして「税金」を古代で徴収できたのか?という問題です。現在のように、税金を集めて公的なサービスを提供するという建前は全然なかった訳ですから、税金を納めるには何か「理由」が必要だった筈なんです。それが宗教とか儀式だった。

例えば、山の穀物神を里に下ろす。そういう儀式を天皇とか朝廷がする。そういう儀式をやるから、里で出来た「米」に朝廷は税金を徴収できた。ひっくり返すと、儀式を行わないでいると朝廷には徴収する理由が無いので、税金が取れなかった。絹は金になったから、有力氏族が作って儲けていた。有力氏族は絹に税金を掛けて欲しく無いから当然、反対した。でも「大悪天皇」の雄略天皇は違う。強引に儀式を作って税金を取ろうとした。

蜾蠃がやったことで、儀式は作られなかったのか? それともこれ以降、儀式が生まれたのか? それはちょっと分かりませんがそういう、政治の攻防がこの物語ではないかと思います。
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原文

三月辛巳朔丁亥、天皇、欲使后妃親桑以勸蠶事、爰命蜾蠃(蜾蠃、人名也、此云須我屢)聚國內蠶。於是蜾蠃、誤聚嬰兒奉獻天皇、天皇大咲、賜嬰兒於蜾蠃曰「汝宜自養。」蜾蠃卽養嬰兒於宮墻下、仍賜姓爲少子部連。夏四月、吳國遣使貢獻也。
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