鮪臣と太子の影媛争奪の歌合戦

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武烈天皇(四)鮪臣と太子の影媛争奪の歌合戦

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原文

歌曰、
之裒世能 儺鳴理鳴彌黎麼 阿蘇寐倶屢 思寐我簸多泥儞 都摩陀氐理彌喩一本、以之裒世易彌儺斗。
鮪答歌曰、
飫瀰能古能 耶陛耶哿羅哿枳 瑜屢世登耶瀰古
太子歌曰、
飫裒陀㨖鳴 多黎播枳多㨖氐 農哿儒登慕 須衞婆陀志氐謀 阿波夢登茹於謀賦
鮪臣答歌曰、
飫裒枳瀰能 耶陛能矩瀰哿枳 哿々梅騰謀 儺嗚阿摩之耳彌 哿々農倶彌柯枳
太子歌曰、
於彌能姑能 耶賦能之魔柯枳 始陀騰余瀰 那爲我與釐據魔 耶黎夢之魔柯枳一本、以耶賦能之魔柯枳易耶陛哿羅哿枳。
太子贈影媛歌曰、
舉騰我瀰儞 枳謂屢箇皚比謎 拕摩儺羅磨 婀我裒屢柁摩能 婀波寐之羅陀魔
鮪臣爲影媛答歌曰、
於裒枳瀰能 瀰於寐能之都波拕 夢須寐陀黎 陀黎耶始比登謀 阿避於謀婆儺倶儞
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現代語訳

太子は歌を歌いました。
潮瀬(シオセ)の 波折(ナオリ)を見れば 遊び来る 鮪(シビ)が端手(ハタデ)に 妻立てり見ゆ
ある本によると潮瀬を水門(ミナト)と変えています。
歌の訳潮の流れの早い瀬の波の折り返しを見てみると、遊びに入ってきた鮪のすぐそばに妻が立っているのが見える。

意訳鮪と鮪臣に例えて、鮪のそばに妻である影媛がいるという歌。

鮪臣が答歌(カエシウタ)を言いました。
臣の子の 八重(ヤエ)や韓垣(カラガキ) ゆるせとや御子(ミコ)
歌の訳臣の子の八重に張り巡らせた韓垣(カラガキ=家の周囲の垣根)をゆるめろと言うのですか? 御子は
意訳垣根を緩めて影媛を譲れというのですか?

太子は歌を歌いました。
大太刀(オオタチ)を 垂れ佩(ハ)き立ちて 抜かずとも 末(スエ)果(ハタ)しても 会はむとぞ思ふ
歌の訳大きな太刀を腰に垂らし身につけて立っている。今は抜かずとも、いずれは果たして、影媛に会おうと思っている。

鮪臣は答歌を歌いました。
大君(オオキミ)の 八重の組垣(クミカキ) 掛かめども 汝(ナ)を編(ア)ましじみ 掛かぬ組垣
歌の訳大君が八重にめぐらせた垣根を作ろうとしていますが、あなたには編めないでしょう。作れないでしょうね。垣根は。

太子が歌いました。
臣の子の 八節(ヤフ)の柴垣(シバカキ) 下(シタ)動(トヨ)み 地(ナ)が揺(ヨ)り来ば 破れむ柴垣
ある本には「八節の柴垣」を「八重の韓垣」と変えている。
歌の訳臣の子が作った八節の網目の多い柴垣は、足元がグラグラしていて、地が揺れると、破れる柴垣だ

太子は影媛に歌を贈り言いました。
琴頭(コトガミ)に 来(キ)居(イ)る影媛 玉ならば 我(ア)が欲(ホ)る玉の 鮑白玉(アワビシラタマ)
歌の訳琴の頭の部分に来て宿るという影媛。宝石に例えるならば、わたしが欲しい玉の、アワビの真珠だ!

鮪臣が影媛のために答歌をして言いました。
大君(オオキミ)の 御帯(ミオビ)の倭文織(シツハタ) 結び垂れ 誰(タレ)やし人も 相(アイ)思はなくに
歌の訳大君の帯の倭文織の布を結び紐が「垂れ」ているように……誰(タレ)のことも、思ってはいません。
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解説

歌の中に「影媛」「鮪」が出てきているので、これらの登場人物がいて、それにあわせて歌があるような気がしますが、おそらくは歌があり、それにあわせて登場人物の名前が決まった、と考えたほうが良いかと思います。

この後、鮪臣は殺され、父親の平群臣真鳥も殺されてしまいます。つまり平群臣家族の「粛清」があり、その理由として武烈天皇の失恋が語られた。実際に失恋したかどうかはわかりません。そのくらいのことは十分あるでしょう。ただ、歌謡があって史実があり、それらがゴッチャになっているのです。粉飾と事実がどの程度の割合なのかはわからないってことです。粉飾があるから、すべてを「嘘」とするのは無理があります。このあたりは、中国や朝鮮で語られる歴史書と、日本の古代で考えられる歴史の間に大きな「差」があるわけで、日本の古代の文化事情を鑑みないで、記紀を読むのは無駄だと思います。
武烈天皇はみっともないか?
武烈天皇はどうやら法治主義を標榜して、周囲にあまりよろしく思われていなかった。だから、武烈天皇は失恋して相手を殺すという物語を付与された…ような気もしますが、まぁ、そういうワガママ勝手な王は前の天皇にもいくらでも居ましたし、それを持って、「武烈天皇を悪く書いた」と主張するのは無理があるかと。
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