館の中庭での大使の暗殺

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敏達天皇(三)館の中庭での大使の暗殺

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原文

六月、高麗大使、謂副使等曰「磯城嶋天皇時、汝等違吾所議、被欺於他、妄分国調、輙與微者。豈非汝等過歟。其若我国王聞、必誅汝等。」副使等自相謂之曰「若吾等至国時、大使顯噵吾過、是下祥事也。思欲偸殺而斷其口。」是夕、謀泄。大使知之、裝束衣帶獨自潛行、立館中庭、不知所計。時有賊一人、以杖出來、打大使頭而退。次有賊一人、直向大使、打頭與手而退。大使、尚嘿然立地而拭面血。更有賊一人、執刀急來、刺大使腹而退。是時、大使恐伏地拜。後有賊一人、既殺而去。明旦、領客東漢坂上直子麻呂等、推問其由。副使等乃作矯詐曰「天皇賜妻於大使、大使違勅不受、無禮茲甚。是以、臣等爲天皇殺焉。」有司、以禮收葬。秋七月、高麗使人罷歸。是年也、太歲壬辰。
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現代語訳

(即位1年)6月。高麗の大使は副使(ソイツカイ)たちに語って言いました。
「磯城嶋天皇(シキシマノスメラミコト=欽明天皇)のときに、お前たちは私たちで話し合ったところとは違うところへと、騙されて行って、みだりに国の調(ミツキ=税)を分けて、たやすく卑しいものに与えてしまった。どうしてお前らの過ちではないと言えるだろうか! もし我が国の王が聞いたら、必ずお前たちを誅殺するだろう」
副使は自ら語りあって言いました。
「もし、我らの国に到着したときに、大使が我らの過失を洗いざらい報告すれば、これは良くないことになる。ひそかに殺して、その口を塞ごうと思う」
この夕に謀(ハカリゴト)が漏れてしまいました。大使はこの計画を知って、装束衣帯(ヨソイ=身なりを整えて)、一人で隠れて行きました。館の中庭に立って、どうしていいか分からなくなりました。そのときに、一人の賊(アタ=敵)が居て、杖を持って出て来て、大使の頭を打って退出しました。次に賊が居て、大使に直に向かって、頭と手を打って退出しました。大使は、黙って地面に立って、顔の血を拭いました。また賊が一人居て、刀を取って、急(ニワカ)に来て、大使の腹を刺して退出しました。このとき、大使は恐れて地面に伏して拝みました。この後に賊が一人居て、殺して去りました。翌朝、領客東漢坂上直子麻呂(マラウトノツカサヤマトノアヤノサカノウエノアタイコマロ)たちは、その殺した理由を問いました。副使たちは、嘘をついて言いました。
「天皇は妻を大使に与えました。大使はその勅(ミコトノリ)に逆らって受けませんでした。無礼なこと甚だしい。それでわたしめらが天皇のために殺したのです」
有司(ツカサ=役人)は礼を持って大使を葬りました。

秋7月高麗の使者が帰りました。この年、太歲壬辰です。
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解説

賊が一人…
命を狙われているはずの大使はのんびりと、衣服を着込んで、中庭に立っていました。すると、賊が一人、一人と、順番に大使に襲い掛かります。

これって「演劇」じゃないでしょうか。

高麗の使者が殺されたかことが史実かどうかは分かりません。史実ではない、ということでもありません。そうではなく、この記述は「演劇の演出」であり、「このまま」が相楽の館で起きたのではないということです。
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