誓約(ウケイ)

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誓約

漢字・読みウケイ
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概要

まとめ
●誓約は身の潔白を証明したり、将来の吉凶を占うもの。
●裁判ともギャンブルとも占いとも言われます。
●誓約はまず、言葉で宣言して、その通りになれば勝ち。ならなければ負け。
●言葉が現実化する「言霊信仰」があってこそ成立する裁判。
●また、嘘をついていたり、間違ったことをした人間は霊力が下がり、言葉が現実化しない、という「清らかさ=霊力」という感覚ないと、成立しない裁判でもある。
●最も有名な誓約はアマテラススサノオの誓約。

物語・由来

誓約とは
まず宣言をして、その言葉どおりに事がなれば、その人物は潔白という呪術的裁判のこと。ギャンブルという例えをすることもあります。これは「言葉が現実化する」という日本人の「言霊信仰」があってこそ成立する裁判です。また、嘘をついていないこと、潔白であること…つまり清らかであることが、その人物の霊力を高めると考えていないと成立しません。
記紀の誓約
誓約というのは、身の潔白を証明するものと、未来を占うものとあり、そのうち身の潔白を証明する誓約の中には「盟神探湯(クカタチ)」というものがあります。これはこのページでは扱わないことにしています。また「狩り」をすること自体も、未来の吉凶を占う「誓約」の性質があると思われますが、単に「狩」「猟」と書いてあった時に、実際に誓約の意味合いがあったのかは分からないので割愛しています。

それで、盟神探湯を除いた「誓約」の詳細は以下の引用を参考にしてもらうとして大雑把にまとめるとこうなります。
アマテラススサノオの誓約(古事記・日本書紀
●イワナガヒメをニニギ尊が捨てた時の大山祇(オオヤマヅミ)の呪い(古事記)
コノハナサクヤヒメの出産(古事記・日本書紀
●垂仁天皇による誓約(古事記)
神功皇后を襲おうとした香坂王(カゴサカノミコ)・忍熊王(オシクマノミコ)の誓約(古事記・日本書紀
神武天皇による戦争前の誓約(日本書紀)
●垂仁天皇の嫁探しの誓約(日本書紀)
景行天皇土蜘蛛退治の前の誓約(日本書紀)
神功皇后の魚釣りの誓約(日本書紀)

この中で特筆すべきは、神武天皇景行天皇香坂王(カゴサカノミコ)・忍熊王(オシクマノミコ)の誓約です。彼らは戦争の吉凶を誓約によって占いました。つまり、誓約には戦争を左右する力があったということです。
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古事記からの引用

宗像三女神の誕生
すると速須佐之男命(ハヤスサノオミコト)が
「誓約(ウケイ)をして子供を生みましょう」
と言いました。

天皇の寿命は儚く
「わたしが娘を二人並べて送ったのは、
石長比売(イワナガヒメ)が仕えれば
天津神の皇子(=ニニギ)の命は
雪が降り風が吹いても、岩のように永遠に固く動かず変わらないものになるでしょう。

木花佐久夜毘売(コノハナサクヤヒメ)が仕えれば
木の花が咲くように繁栄するでしょう――

そう誓約をしたのです。

出産の誓約
木花佐久夜毘売(コノハナサクヤヒメ)が答えました。

「わたしが妊娠した子が
もし国津神の子供ならば、
無事に生まれないでしょう。

もし天津神の皇子ならば、
無事に生まれるでしょう」

アケタツ王とウナカミ王
垂仁天応はアケタツ王に命じて
「この大神(=オオクニヌシ)を拝むことで、本当に祟りを払う効果があるのならば、この鷺巣池の樹の鷺よ! 誓約 落ちろ!」
と言わせました。
すると、誓約をした鷺が地面に落ちて死んでしまった。
「誓約 生きろ!!」
と唱えると鷺は生き返りました。
今度は甘樫の丘の葉の広い樫の樹を誓約の力で枯らし、また生き返らせました。

忍熊王の反逆
そうして大和へと進むと、香坂王(カゴサカノミコ)・忍熊王(オシクマノミコ)がホンダワケ皇子の死と皇后の帰国をを知り、待ち伏せして皇后を殺そうと考えました。

それで斗賀野(トガノ)で、戦争の吉兆を狩によって占う「誓約狩(ウケイガリ)」をしました。
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日本書紀からの引用

第六段本文-3 赤心を証明するための誓約
それに対してスサノオは答えました。
「それでは姉さんと共に誓約(ウケイ)をしましょう。誓約の中で子を生みましょう。わたしが生んだ子が女ならば邪心があると考えてください。もし私が生んだ子が男ならば、清らかな心だと考えてください」

第六段一書(一)天孫によって祀られなさい
これに対してアマテラスはスサノオと対峙して言いました。
「もしも、お前(=スサノオ)の心が綺麗であり、高天原を奪う気持ちが無いのであれば、お前が生んだ子は『男神』になるだろう」

第六段一書(二)羽明玉と瑞八坂瓊之曲玉
スサノオは答えました。
「わたしと姉さんで、誓約をしましょう。
誓約で女神が生まれたならば悪意があるとしてください。男神が生まれたならば清らかな心があるとしてください」

第六段一書(三)六柱の男神
ある書によると……
日の神(=アマテラス)がスサノオと天安河(アメノヤスカワ)を挟んで相対して誓約をして言いました。

「あなたがもし賤(イヤ)しい心が無いのならば、あなたが生む子は必ず男となるでしょう。もし男神が生まれたならば、わたしの子供として天原(アマハラ)を治めさせましょう」

第七段一書(三)-4悪行→岩戸→追放→誓約
スサノオは誓約をして言いました。
「わたしがもし、善からぬ気持ちを持って天に昇って来たのならば、勾玉を噛んで生まれる子供は女神になるでしょう。そうなれば、女神を中原中国に降ろしてください。
もし清らかな心ならば、男神が生まれるでしょう。それならば男神に天界を治めさせてください。
姉(=アマテラス)が生む子供も同じルールにしましょう」

第九段本文―9 事勝国勝長狹の国
皇孫(スメミマ)は妊娠が信じられず
「いくら私が天神だからといって、どうして一晩で身重に出来るわけがない。お前が妊娠した子は、絶対に私の子ではない」

それで鹿葦津姫(カシツヒメ=コノハナサクヤヒメ)は怒り恨んで、出入り口の無い小屋を作って、その中に入り、誓約をしました。
「わたしが身ごもったのが天孫(アメミマ=ニニギ)の子で無ければ、必ず焼け死ぬ! もしも本当に天孫(アメミマ)の子供であれば、どんな火も傷つけることが出来ない!!」
そうして小屋に火を放ちました。

第九段一書(二)—6一晩だけで妊娠させられるのか??
皇孫(スメミマ)は言いました。
「天神(アマツカミ)の子といっても、どうやったら、一晩だけで妊娠させられるのか?? その子はわたしの子ではないだろう」
木花開耶姫(コノハナサクヤヒメ)はとても情けなく恥ずかしく思い、腹を立てました。そこで、すぐに窓も戸も無い小屋を造って誓約をしました。
「わたしが妊娠したこの子が、もしも天津神以外の子供ならば、必ず不幸になる。この子が本当に天孫の子ならば、必ず何の問題も無く生まれるだろう!!」

第九段一書(五)天孫の苦しい言い訳
天孫(アメミマ)は言いました。
「心に疑念があるからだ。
だから笑うのだ。
わたしがいくら天神(アマツカミ)の子と言っても、どうして一晩で妊娠させられるだろうか?? その子供は私の子供ではないだろう」

それを聞いて、吾田鹿葦津姫(アタカシツヒメ)はますます恨んで、窓や戸の無い小屋を造り、その中に入って誓約をして言いました。
「わたしが妊娠したのが、もしも天神(アマツカミ)の子でなければ、必ず死んでしまう。この子がもし、天神(アマツカミ)の子であれば、傷一つ負わない」
そして火をつけて小屋を焼きました。

九月甲子朔戊辰(一)天平瓮と嚴瓮と酒と嚴呪詛
賊虜(アタ=敵軍)が陣を張った所は、要衝でしたから、道路は塞がって通ることが出来ません。
神武天皇は困りました。
この晩、天皇は誓約(ウケイ)をして眠りました。
夢に天神(アマツカミ)が現れ、言いました。
天香山(アマノカグヤマ)の神社の土(ハニ)を取って、天平瓮(アマノヒラカ=酒杯)を八十枚作り、嚴瓮(イツヘ=酒瓶)を造り、天津神と国津神を祀り、嚴呪詛(イツカノカシリ=強い呪い)をかけなさい。それで敵軍は自然と従うだろう」

九月甲子朔戊辰(三)誓約による飴作りと漁
このとき敵の兵が沢山居て、老夫婦に変装していても天香山(アマノカグヤマ)の土を取りに行くのは難しかった。それで椎根津彦(シイネツヒコ)は誓約をしました。
「わたしの皇(オオキミ)がこの国を治めるべきならば、道を当然のように通れるだろう!! もし治められないならば、敵は私たちを邪魔するだろう!」
…(略)…
天皇はまたここで誓約をしました。
「わたしは今、八十平瓮(ヤソノヒラカ)で水無しに飴(タガネ=アメ)を作ろう。飴が出来たならば、私は必ず武力を使わずに天下を平定できるだろう」
それで飴を作りました。
飴が自然と出来ました。
また誓約をしました。
「わたしは今、嚴瓮(イツヘ)を丹生之川(ニウノカワ)に沈めよう。もし魚の大小にかかわらず、マキ(=植物名)の葉っぱが流れるように酔っぱらって浮かび上がって流れたら、私は必ずこの国を治めるだろう。もし、そうならなかったら全ては失敗する」
すぐに瓮(ヘ)を川に沈めました。
その瓶の口が下に向きました。
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日本書紀からの引用2

垂仁天皇(二十一)山背の綺戸邊
天皇は矛(ホコ)を取って誓約をしました。
「必ず!
その佳人(カオヨキヒト)と結ばれるなら!!
道にその兆候が見える!」
行宮(カリノミヤ=移動先の仮の宮殿)に到着するところで大きな亀が川の中から出てきました。天皇は矛を上げて、亀を刺しました。すぐに亀は白い石になりました。

景行天皇(十一)蹈石と誓約
天皇は誓約をしました。
「わたしが土蜘蛛を滅ぼすことができるのならば、まさにこの石を蹴っ飛ばしたら、柏の葉のように飛べ」
それで石を蹴っ飛ばしました。すると石は柏の葉のように大虚(オオゾラ)にあがりました。

神功皇后(五)火前国松浦国・梅豆羅国の地名説話
鉤(チ)を投げて、祈(ウケイ=誓約)をして言いました。
「わたしは西の方の財(タカラ)の国を求めようと思う。もしも事を成すならば、河の魚(イオ)は鉤(チ)を飲めっ!」
それで竿をあげると、細鱗魚(アユ=鮎)が取れました。それで皇后は言いました。

神功皇后(十八)広田国と活田長峽国と長田国と大津の渟中倉の長峽に祀る
麛坂王(カゴサカノミコ)・忍熊王(オシクマノミコ)は共に菟餓野(トガノ=大阪市北区兎我野町)に出て、祈狩(ウケイガリ)をして言いました。

「もしも事を成すことができるのならば、必ず良い獣(シシ)を得るだろう」
二人の王はそれぞれ假庪(サズギ=神を招く一段高い棚)に居ました。赤い猪がたちまち出て假庪(サズギ)に登って、麛坂王(カゴサカノミコ)を食い殺しました。
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