孝徳天皇(五十二)蘇我倉山田麻呂は山田寺で自殺

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孝徳天皇(五十二)蘇我倉山田麻呂は山田寺で自殺

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原文

己巳、大臣謂長子興志曰、汝愛身乎。興志對曰、不愛也。大臣、仍陳說於山田寺衆僧及長子興志與數十人曰。夫爲人臣者安構逆於君、何失孝於父。凡此伽藍者元非自身故造、奉爲天皇誓作。今我見譖身刺而恐横誅、聊望、黃泉尚懷忠退。所以來寺、使易終時。言畢、開佛殿之戸、仰而發誓曰、願我生々世々不怨君王。誓訖、自經而死。妻子殉死者八。是日、以大伴狛連與蘇我日向臣爲將領衆、使追大臣。將軍大伴連等及到黑山、土師連身・采女臣使主麻呂、從山田寺馳來告曰、蘇我大臣既與三男一女倶自經死。由是、將軍等從丹比坂歸。
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現代語訳

(即位5年)3月25日。大臣は長子の興志(コゴシ)に語って言いました。
「汝(イマシ=お前)は、その身が惜しいか?」
興志は答えて言いました。
「惜しくありません」
大臣は山田寺の衆僧(ホウシドモ)と長子の興志と数十人とに語って説明して言いました。
「人の臣下である者、どうして君主に逆らおうと構えるだろうか。どうして父に従わないだろうか。すべて、この伽藍(テラ)は元々から、わが身のために作ったのではありません。天皇のために奉り、誓って作ったのです。今、私は身刺(ムザシ=蘇我日向のこと)に譖(シコ=嘘の密告で貶められる)られて、邪に誅殺されるだろうことを恐れています。願わくば、黄泉(ヨモツクニ)にも、なお忠誠心を抱いたままで退いて、死にたいと思っている。寺に来た理由は、終わりの時を安らかにしようと思っているからです」
言い終わると、仏殿の戸を開いて、仰いで誓いを立てて言いました。
「願わくば、我! 何度生まれ変わっても! 君王を恨まないでいられますように!」
そう誓い終わって、自殺してしいました。妻子など、殉死したものは8人。この日に、大伴狛連(オオトモノコマノムラジ)と蘇我日向臣(ソガノヒムカノオミ)を将軍として衆(ヒト)を率いて、大臣を負わせました。将軍の大伴連たちは、黒山(クロヤマ=河内国丹比郡黒山郷=現在の大阪府南河内郡美原町黒山)に到着して、土師連身(ハジノムラジム)・采女臣使主麻呂(ウネメノオミオミマロ)は山田寺赤ら馳せ来て告げて言いました。
「蘇我大臣は、すでに3人の男と1人の娘とともに自殺して死にました」
これで将軍たちは丹比坂(タジヒノサカ=大阪府羽曳野市丹比)から帰りました。
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解説

蘇我倉山田麻呂がここで死亡。その死ぬ経緯が、聖徳太子の子の山背大兄王と似ているのですね。

山背大兄王は仏教を信奉し、死んだ場所の「斑鳩寺」でした。蘇我倉山田麻呂は「山田寺」。これは自分の名前を冠した自分の寺です。ただし、この時代になると自前の寺を持っていること自体は珍しくなかったはずですから、同じとは言えないでしょうが、問題はそこではないと思います。

日本人は穢れを嫌いました。穢れを嫌っているために日本人はできないことが幾つかありました。一つは「文字による記録」。これは筆が獣の死体から取れる「毛」で出来ているからです。もう一つは「戦争」。日本人は死の穢れを嫌うあまりに戦争を嫌いました。しかし戦争はあくまで問題解決の手段。戦争をしないと時代が前に進まないし、いざこざを抑え込むことが出来ません。

そこで日本人は穢れの概念のない仏教を取り入れました。これで文字の記録もできるし戦争も出来ます。戦争ができると言っても、日本人は死者の穢れだけでなく「祟り(怨霊)」も怖い。
●私は死穢と祟り(怨霊)の根本は同じだと思います。

そこで「霊の概念のない」仏教がやはり大事になります。
だから山背大兄王も蘇我倉山田麻呂も「寺」で死んだのではないかと思うのです。実際に自殺だったか、寺で死んだのか? それは分かりません。残された資料にそう書いてある以上のことは分からないのです。ただ霊の概念も死穢の概念もない仏教の「寺」で死んだことにすれば、穢れも怨霊も関係がない。だから恐れる必要がない。そういう判断があって、「寺」で死んだことになった。意図的に寺に追い込まれたのかもしれないし、寺で殺されただけかもしれない。寺で死んでいないけど、寺で死んだことにしたのかもしれない。ただ、寺で死んだら、安心という「文化」があったんじゃないかと。

それはひっくり返すと、「怨霊」を恐れる人々がいて、それが権力者だった。つまり、孝徳天皇・中大兄皇子・皇極天皇あたりの人物が、蘇我倉山田麻呂が邪魔になって殺した。画策をした。その祟りが滅茶苦茶に怖かった、ということではないかと思います。

ま、素直に考えて中大兄皇子(天智天皇)でしょう。
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