持統天皇(十五)勅を受けるのは蘇判位だけ

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持統天皇(十五)勅を受けるのは蘇判位だけ

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現代語訳

(即位3年)5月22日。土師宿禰根麻呂(ハジノスクネネマロ)に命じて、新羅の弔いの使者の級飡(キュウサン=新羅の官位)の金道那(キンドウナ)たちに詔(ミコトノリ)して言いました。
「太政官(オオキマツリゴトノツカサ)の卿(マヘツキミ=臣下)たちは、勅(ミコトノリ)を受け賜わり、宣べます。
即位2年に田中朝臣法麻呂(タナカアソミノリマロ)たちを派遣して、大行天皇(サキノスメラミコト=天武天皇の事)の喪を告げました。その時、新羅は言いました。
『新羅の、勅(ミコトノリ)を受け賜る人は、元来、蘇判位(ソウカンノクライ)を用いている。今、また、そうしようと思う』
これで法麻呂たちは、告げなくてはいけない詔を述べることができませんでした。もしも以前のことを言うならば、昔、難波宮治天下天皇(ナニワノミヤニアメノシタシタシメシシスメラミコト)が崩御した時、巨勢稲持(コセノイナモチ)たちを派遣して、喪を告げる日に、翳飡(エイサン)の金春秋(キンシュンシュウ)が勅をうけたまわった。しかし、蘇判で勅を受け賜ると言うのは、以前のことと違っている。また、近江宮治天下天皇(オウミノミヤニアメノシタシタシメシシスメラミコト)の崩御した時に、一吉飡(イツキツサン=新羅の官位)の金薩儒(キンサチヌ)を派遣して、弔い奉らせた。しかし、今、級飡で弔い奉流のは、また以前の事とは違っている。また新羅は、元来、申して言うには
『我が国は、日本の遠い皇祖の時代から、船の舳(ヘ)を並べて、舵を乾かないほどに動かし、仕え奉る国です』
と言っていた。
しかし、今、1艘のみであるのは、古い典(ノリ)に乖離している。
また申して言うには
『日本の遠い皇祖の代から、清白(アキラケ=清らかな)な心を持って仕え奉る』
と言っていた。
しかし、竭忠(マメココロ=忠誠心がない)であり、本職(モトノツカサ=自分の本分)を宣べあげようとしない。清白な心を破り捨て、偽り、媚びた。それ故に、調賦(ミツキ)を別の献上したもの全部を、結んでくくって封じて返還しよう。しかし、我が国家の遠い皇祖の代から、広くお前たちに与えた慈愛の徳は、絶えるものではない。いよいよ勤め、いよいよ謹み、戦々兢々(オジカシコマリ)、その職任(ツカサコト=仕事)を修めて、法度(ノリ)を遵守し、奉る者を天朝(ミカド)は広く慈愛するだけだ。お前たち道那(ドウナ)たちは、この勅した所を受け賜わり、お前の王に宣べなさい」
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解説

わかりづらいのでちょっと簡単に。

持統天皇は田中朝臣法麻呂を新羅に派遣して「天武天皇が崩御したよ」と伝えました。ところが新羅は「蘇判位が勅を受けることになってるから、今は受けられないよ」と断ります。それを聞いた日本側が、
「いやいや、今までそんなことなかったじゃん!
お前ら、昔、日本に仕えるって約束したのに全然、守らないな」
とツッコミを入れるのがこのページ。
新羅は儒教国
儒教は徳治主義を行っています。徳治主義ってのは法律より何より道徳が大事って考えです。本来は道徳を世の中のモノサシにしようって考えであって、「法を守らなくていいよ」ってことではないのですが、何せ道徳というのが非常に曖昧なモノサシなので、実質、朝鮮や中国では、約束事(法)ってのは保護になります。

それに儒教では上下関係が大事です。王様が日本のいいなりになっていたら、王の威厳が保てません。部下に「易姓革命」されて、殺されかねません。
即位2年
田中朝臣法麻呂は持統天皇即位1年1月19日に新羅に出発しています。

この出発がのびのびになって、到着が即位2年になったのではないか?と思われます。
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原文

五月癸丑朔甲戌、命土師宿禰根麻呂、詔新羅弔使級飡金道那等、曰「太政官卿等奉勅奉宣、二年、遣田中朝臣法麻呂等、相告大行天皇喪。時、新羅言、新羅奉勅人者元來用蘇判位、今將復爾。由是、法麻呂等不得奉宣赴告之詔。若言前事者、在昔難波宮治天下天皇崩時、遣巨勢稻持等、告喪之日、翳飡金春秋奉勅。而言用蘇判奉勅、卽違前事也。又、於近江宮治天下天皇崩時、遣一吉飡金薩儒等奉弔。而今以級飡奉弔、亦遣前事。又、新羅元來奏云、我国、自日本遠皇祖代、並舳不干檝、奉仕之国。而今一艘、亦乖故典也。又奏云、自日本遠皇祖代、以淸白心仕奉。而不惟竭忠宣揚本職。而傷淸白、詐求幸媚。是故、調賦與別獻、並封以還之。然、自我国家遠皇祖代、廣慈汝等之德、不可絶之。故、彌勤彌謹戰々兢々、修其職任奉遵法度者、天朝復廣慈耳。汝道那等、奉斯所勅、奉宣汝王。」
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