記紀の成立の理由(仮説)…中央集権化のアプローチとしての記紀

MENU
TOP>コラムいろいろ(連載)>記紀の成立の理由(仮説)…中央集権化のアプローチとしての記紀

記紀の成立の理由(仮説)…中央集権化のアプローチとしての記紀

TWEET Facebook はてブ Google+ Pocket

概要

まとめ
●日本では神は異界にいて、その異界から神を呼び寄せることで作物が育つと考えていた。ということは、異界から呼び寄せる「儀式」をしないと作物は実らない。よって儀式をする神官(氏族)には収穫の一部を収めないといけない、となる。
●中国や朝鮮では土地や民は王の所有物。だから税の徴収には問題がない。
●日本と他国では「国の形式」「国の根本」が違う。
●日本では神が国の根本にあった。
●日本で中央集権化する過程で、全国の神話を天皇を中心にして一本にまとめる必要があった。
●税を徴収する理由が神で、その神が記紀に登場するということは、税の一部は大和朝廷に収められて当然。ひっくり返すと地方の氏族は記紀神話を受け入れることで、地位を保証されたのではないか。
Pre<<<  >>>Next 
スポンサードリンク

日本の世界観

日本では神が異界にいて、その神が里にやってきて、作物を育てるという世界観でした。異界というのが山の向こうだったり、海の向こうだったりしますが、大体の世界観はそういうことでした。ということは、異界から神を呼び寄せなければ、作物は育たないってことになります。実際には違うんですがね。でも民からすれば、そういうことになります。となると、神を呼び寄せてくれる「神官」が神事を行わないと作物が出来ないわけで、神事を行った神官に「税」を収めることになります。税というよりは神を呼び寄せる「神事・儀式」の参加料ですね。神事・儀式は分かりやすく言うと「祭り」ですね。だから政治のことを「マツリゴト」と言うんでしょう。
スポンサードリンク

日本と中国・朝鮮との違い

つまり古代の日本の地方の自治体は神と神官と祭りによって税(参加料)が集められて、その金で色々な雑費を賄っていたわけです。日本では「国」の根本に神があるのですね。そんなのどこでも同じじゃないか?と思うかもしれませんが、そうでもないです。
儒教の世界観
例えば中国と朝鮮は儒教です。儒教では土地と民は「王」の所有物です。王は支配者で権力者なんですね。支配者に選ばれるには「道徳」が必要で、道徳によって「天」に選ばれるものなんですが、ただ、土地と民は「王の所有物」なんです。王のものなんだから、税を納めるのは当然ですよね。

この考えが日本にはなかった。日本は儒教国じゃないので、「王」とはつまり「神官」のことであ流のですが、土地と民は「王の所有物」ではないんです。所有物ではないから問答無用に税を徴収することができない。そこで日本では自治体を維持するための税を集める根拠が「神」だった。

大和朝廷とは

大和朝廷はその地方の神を奉じる氏族たちの「共和国」のようなものだったのでしょう。その中心が天皇だった。天皇はあくまで中心であって、支配者・権力者ではなかった。私は共和国というよりは「自治会」感覚に近い「集団」だったんじゃないかと思っています。最初はそれでもよかったのだけど、経済が発展するにつれて、中央集権国家でないといけないな!と考えるようになった。そのアプローチが雄略天皇・武烈天皇、聖徳太子や蘇我氏や孝徳天皇や天智天皇・天武天皇で行われたけど、いまいちうまくいかなかった。その「中央集権国家」になるためのアプローチの一つが「古事記・日本書紀」だったのだと私は考えています。
大化の改新
孝徳天皇の大化の改新で「公地公民」の詔が出ました。公地公民は、土地と人民は「公」のもの。ここでの「公」は天皇にあたり、儒教の世界観に近いものです。でも、詔が出ただけで、実際に公地公民が徹底されていなかった。これはダイエット宣言みたいなもので、宣言したことと、ダイエットに成功したかどうかは全然関係がない。ただ天皇の言葉「公地公民」は特別なものですから、言葉は残った。そういうことだと思います。

中央集権国家にするには「公地公民」が必要。そういう認識があったが、うまくいかなかった。そこで、別のアプローチがなされた。

公地公民がうまくいかないで、各土地と民が天皇のものでないとなると、従来通りに、神事・儀式をしたから税金を集めるという方式だったハズです。これでは氏族が勝手に集めて、そのお金は場合によってはポッケないないです。どうせ分かりませんからね。

神話を一つにつなげることで中央集権化を

そこで全ての神話を天皇を中心にして「一本」にした。
神話が天皇によってつながっているとなると、その神事や儀式が、天皇とは直接関係ないとしても、元をたどれば天皇(皇統)と関係しているのだから、天皇(大和朝廷)にも税を納めないといけない。こうして中央集権国家を成立させようとした、そうして生まれたのが古事記と日本書紀だと思うのです。

記紀で神話を一本につないだとしても、地方の氏族が言うことを聞くわけがない!と思うかもしれませんが、そもそも氏族が民を率いている理由が「神」ですから、そうそう無視は出来ないのです。それに記紀の物語があるということは、地方の氏族は物語の登場人物の子孫であり、大和朝廷の一員になることになり、それはまぁ、「大和朝廷の公務員」に組み込まれてしまうということです。
地方の氏族には、記紀が成立するギリギリまで争いがあったんじゃないかと思ってます。記紀の物語を受け入れて、大和朝廷の公務員になることで、地位を保証した。という側面もあったのかもしれません。

Pre<<<  >>>Next 
スポンサードリンク

SNSボタン

TWEET Facebook はてブ Google+ Pocket

ページ一覧

編集