日本のヒーローが変身すると強くなる理由

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日本のヒーローが変身すると強くなる理由

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概要

まとめ
●日本のヒーローは変身して強くなる。
●欧米のヒーローは変身はパワーアップの理由ではなく、もともと強い自分の正体を隠すためのものであり、衣装は立場を表しているに過ぎない。例)スーパーマンはクラークケントの状態でもパワーは同じ。
●日本人は衣装が変わり、名前が変わると、全くの別人になり、全く違う力を持つようになる。
●日本は伝統的に衣服が権力を象徴していた。良い服を着ると言うことは地位が高いと言うことであり、服が変わると言うことは出世を表している。
●日本のヒーローが変身することで、パワーアップするのは、暗に出世して権力を得ているという意味があり、変身(衣装が代わり名前・・・肩書きが変わること)によってパワーアップするのに日本人は違和感を持たない。
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日本と欧米ではヒーローの「変身」の意味が違う

日本のヒーローは変身する。変身することによってパワーアップして敵と戦います。変身前は普通の人間で、変身後は超人というケースが多いです。しかし、冷静に考えるとこれは不思議です。

例えば欧米のヒーローとして有名なスーパーマンは、普段、クラークケントとして生活して、何かの危機が発生するとスーパーマンとして現れます。でも、クラークケントの時でもスーパーパワーは持っています。正体を隠しているだけで、どちらの状態でもスーパーパワーを持っています。つまり、スーパーマンは変身によってパワーアップしているのはないわけです。スーパーマンのあの衣装はいわば「立場」を表明しているものであって、そこにスーパーパワーはありません。それはスパイダーマンやフラッシュでも同じです。バッドマンはその衣装が装甲にもなっていて防御力を上げているのですが、それでも衣装がスーパーパワーを与えているということはありません。
●そもそもバッドマンやグリーンアローは、スーパーパワーを持っているわけではなく、訓練で技術を身につけた「人間」です。
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変身するとパワーアップする?

日本のヒーローは変身してパワーアップします。
つまり日本人にとっては「姿」が変わることは、スーパーパワーを得ることができると思っているんです。仮面ライダーは姿が変わるとパワーが上がります。本郷猛より仮面ライダーの方が強い。でも、超人ハルクのように格別体が大きくなったわけじゃないんだから、強さに違いがあるとは思えない。まぁ、強くなってもいいんだけど、変身前は生身の人間と同じだけど、変身後はコンクリの壁を突きやぶれるというほどの違いがあるのは(合理的に考えれば)不自然じゃないでしょうか。

ここには感覚の違いがあるんですね。

日本人は衣装が変わり、名前が変わると「別」になるんです。
同一人物であっても、別人になり、パワーアップしても不自然に思わない。セーラームーンなんて、変身前と変身後にあまり変化がないじゃないですか(変化はあるけど、少なくとも正体を隠そうという意図は全くない程度の違い)。元々がセーラー服の中学生が、セーラー服のヒロインになって、それでどうして強くなるのかというと、「日本人がそう思ってるから」です。日本人にとっては、なぜ強いか?ではなく、大事なのは「衣装と名前が変わる」ことにあります。変わるってことは、何もかもが違っていてもいいのです。これはお約束であって合理的かどうかではありません。

どうして変身してパワーアップするか?

まず一つとして、能や歌舞伎といった演劇の文化があると思うのです。
同じ役者であっても衣装が変わり、名前が変われば、それは別人です。別人と見なくちゃいけないし、そうでないとエンターテイメントは楽しめない。と言うか合理性を求めるのならば、ノンフィクションの映画やドラマや報道でいいじゃないですか? エンターテイメントを見る以上は多少の不合理は目を瞑るくらいじゃないとダメです。

それに、日本では江戸時代から庶民が文化の中心でした。歌舞伎・落語を見て、本を読み、瓦版を読み、庶民の文化そのものにエンターテイメントを楽しむ土台がシッカリとあるってのもあると思います。

でも、これは大したことではないです。

日本人と服

大きいのは古代からの社会のあり方です。
日本が明治維新をして外国人が日本に訪れるようになった時、明治政府は市井の人々に「裸で出歩くな」と命じました。当時の日本にはほぼ素っ裸の人間があちこちを歩いていました。ほぼ素っ裸というのは、ふんどし一丁などという甘っちょろいものではありません。「チンコの先を藁で縛っているだけ」などです。なんで、そういうほぼ裸の人がいるのかというと、「服が立場を示していた」からです。
服と立場
どんな素材のどんな色合いの、どういう形式の服を着るのか?
それが立場を表し、権力を表していました。
だから「どんな衣装を着るのか?」がとても大事でした。
下層の人間が立派な服を着るというのは、上司に楯突いているのと同じ意味があります。これがまかり通ると社会が不安定になります。前述のほとんど裸の人たちが、勝手に服を着たら、親方にボコボコにぶん殴られます。だから明治維新後に「裸で出歩くな!」と命じたのですが、なかなかその通りにはなりませんでした。日本人は和(ルール)を乱すのは嫌いですしね。

変身とは出世ではないか?

日本のヒーローは衣装が変わるとパワーがアップします。これはハッキリとそうは言わなくても「出世」して「権力を得る」ということを示唆しています。
●水戸黄門が印籠を見せて、「隠居の爺さん」から「元副将軍」に出世するのも同様です。水戸黄門の場合は衣装ではなく「印籠」になります。
●個人的には、「変身」は出世して上司を追い抜くという過程を表していて、一種のカタルシスの快楽を生んでいるんじゃないか?と考えています。

立派な綺麗なかっこいい変身後の姿がカッコイイ方が強いのです。なぜなら衣装が権力を示唆しているからです。だから仮面ライダーとかガンダムとかはシリーズを重ねるほどに装飾が増えていくんですよ。翼がついて、ツノが生えて、武器が大きくなったり、模様が入って…前より強そうにかっこよく見せるために、装飾が増える。まるで軍人の胸の勲章みたいにね。でも、冷静に考えてくださいよ。装飾が多いのと強いのは関係ないですよね。そんなのおもちゃ会社の都合だろ!と言うかもしれませんが、大人が会議して決めるときに、どんな意見が通りやすいのかっていうと、やっぱり「装飾を増やす」ってことなんですよ。その原因はやっぱり「装飾=出世+権力」という感覚があるからです。
日本神話
日本神話でも衣装…というか「布」が特別視されます。
アマテラスの子、オシホミミは高木神の娘のタクハタチヂヒメという機織の女神を娶り、その子供がニニギです。アマテラスは機織の工房を持っていて、その工房で働いていたのがワカヒルメです。工房にスサノオが皮を剥いだ馬を投げ込んだことでワカヒルメがショック死したのがアマテラスが天の岩戸に篭る直接の原因となっています。また、天の羽衣も有名な神話ですよね。オオクニヌシの神話では、蛇・ムカデ・蜂から身を守るアイテムとして「ヒレ」という布が登場します。
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