正妻におびえる八上比売

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正妻におびえるヤガミヒメ

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原文

故、其の八上比売は、先の期の如く美刀阿多波志都。故、其の八上比売をば率て来ましつれども、其の鏑妻須勢理毘売を畏みて、其の生める子をば、木の俣に刺し挟みて返りき。故、其の子を名づけて木俣神を云ひ、亦の名を御井神と謂ふ。

現代語訳

さて、「因幡の白兎」のくだりで登場した、八上比売(ヤガミヒメ)はあのとき約束したとおりに、オオナムチと夫婦となりました。
それで大穴牟遅神(オオナムチ神)は八上比売(ヤガミヒメ)を率いて来たのですが、鏑妻(=正妻)の須勢理毘売(スセリヒメ)は嫉妬深く、八上比売(ヤガミヒメ)は須勢理毘売(スセリヒメ)を恐れて、生まれたこともを木の股に挟んで因幡に帰ってしまいました。

その子供は木俣神(キマタ神)…別名を御井神(ミイ神)といいます。
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解説

ヤガミヒメ、かわいそすぎ
八十神のプロポーズを断って、オオナムチと結ばれたはずのヤガミヒメでしたが、ヤガミヒメのほうが先に結婚したと言うのに、スサノオの娘スセリヒメを正妻とされ、しかも異常に嫉妬深いスセリヒメを恐れて、子供を置いて実家に帰ってしまいました。
こんなことなら、八十神でいいから結婚しとけばよかった!
と今頃は思っているに違いない。
木の股に挟む
木の股に挟むというのも古代の儀礼にあったとされます。このキマタ神は別名ミイ神(御井神)で、泉・井戸に関わる神です。オオナムチのここまでの物語はどこまでも農業と生活全般のかなりのんびりとした田舎風景を想像させる要素に満ちています(まぁ、殺人事件もありましたが)。
女性の価値は父親で決まる
平安時代でもこの時代でも、男性は女性の家に通うもので、その子供も女性の家で育てられるものでした。よって嫁の父親が次世代(つまり子供)に強い影響力を持ちます。それはひっくり返すと、娘の父親が娘の価値を決めるという意味も持ちます。
仮にオオナムチが西での闘争に敗れて…もしくは他の諸事情で、出雲に流れてきたのであれば、出雲の祖神であるスサノオの娘を正妻に迎えるのは必至。それでこそ、自分と子孫達の安全と平和が約束されるからです。
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