ナマコの口を裂く

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ナマコの口を裂く

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原文

是に猿田毘古神を送りて、還り到りて、乃ち悉に鰭の広物、鰭の狭物を追ひ聚めて、「汝は天つ神の御子に仕へ奉たむや。」と問言ひし時に、諸の魚皆「仕へ奉らむ。」と白す中に、海鼠白さざりき。

爾に天宇受売命、海鼠に云ひけらく、「此の口や答へぬ口。」といひて、紐小刀以ちて其の口を拆きき。故、今に海鼠の口拆くるなり。是を以ちて御世、島の速贄献る時に、猿女君等に給ふなり。

現代語訳

猿田毘古神(サルタヒコ神)を送り届けたアメノウズメは帰ってくると、すぐに鰭の広物、鰭の狭物(=尾の広い魚、尾の狭い魚…大小様々な魚)を集めて、
「お前は天津神の御子(=ニニギのこと)に仕えるか?」
と問いました。
するとほとんどの魚が「仕えましょう」と答える中にナマコ(海鼠)が答えませんでした。
アメノウズメはナマコに言いました。
「この口が答えぬ口か!」
と、小刀でナマコの口を裂きました。
それで今でもナマコの口は避けています。
というわけで、これより、志摩国の初物の魚介類が宮廷に献上されるときは、猿女君に賜ります。
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解説

アメノウズメサルタヒコと結ばれた…と書いたのですが、仕えて名を負っただけで、送り届けたらすぐに帰ってきて、海のものたちに、ニニギに仕えるか?と問います。ほとんどの魚たちが「はい」と答えるのに、ナマコだけが答えません。オチはナマコには口が無いから、というもの。

ところで、伊勢神宮には「食べ物」が備えられます。実際には存在しない神にしては、かなり贅沢な食べ物であり、同時に多種にわたる食べ物が供えられます。その中で、ちょっとビックリするのが「アワビ」です。アワビといっても生ではなく干物としてですが、現在であっても中華料理は干物のアワビが主流ですから、かなり先取りな感じが。

伊勢神宮の神事ではアワビを細かく紐状に削いでから干したものを利用します。これを熨斗鮑(ノシアワビ)。この熨斗鮑を簡略化したのが「熨斗」です。あの祝い事をするときに付ける「のし紙」のことです。
実はアメノウズメも海人系
サルタヒコは海に沈み、ぶくぶくと泡を吐きました。お話の中では死んだとは描かれていませんが、死んだっぽいです。その一方、アメノウズメはナマコの口を裂いていました――――ナマコの口って裂けてます???

ナマコの口を画像検索してみると、とても裂けてる感じがしません。わたしだってナマコくらいは見たことあります。どうしてあれが裂けていると書いたのか???
実はナマコじゃなくて「オオサンショウオ」じゃないの??なんとなく。ところで山の神の「山姥」も口が耳まで裂けているという伝承があります。ここらへんは何かあるのかも。

アメノウズメは伊勢志摩地方の安曇系海人集団の巫女が原型とされます。それでなんか粗野で、ざっくばらんなのかもしれないです。
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