首飾りの玉が離れない不思議

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首飾りの玉が離れない不思議

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原文

爾に火遠理命、其の婢を見て、水を得まく欲しと乞ひたまひき。婢乃ち水を酌みて、玉器に入れて貢進りき。爾に水を飲まさずて、御頸の璵を解きて口に含みて、其の玉器に唾き入れたまひき。是に其の璵、器に著きて、婢璵を得離たず。故、璵著ける任に豊玉毘売命に進りき。

現代語訳

火遠理命(ホオリ命)はその婢(=従者・侍女)を見て、
「水が欲しい」と乞い願いました。

婢(=従者・侍女)はすぐに水を汲み、玉器(玉【=宝石】で出来た器)に入れて差出しました。

すると火遠理命(ホオリ命)は水を飲まずに、掛けていた首飾りを解いて、玉の一つを口に含んで、その器に吐き出しました。するとその玉が器にくっついて、侍女には取れませんでした。侍女はこの玉がついたままの器を豊玉毘売命(トヨタマヒメ)に見せました。
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解説

いままではシオツチ神の教えの通りに行動していたホオリ命が自発的に行動するのですが、実にシュール。侍女が差し出した水の入った器に、首飾りの玉を口に含んで、吐き出すと、玉が器から離れなくなった――――???
インドネシアから
海幸・山幸の話は、インドネシアに伝わる物語と非常に似ていることから、これが沖縄→薩摩と伝わり、日本に渡って海幸彦・山幸彦となったと思われます。ニニギとサクヤのつながりが、稲穂のニニギオオヤマヅミの娘である山の女神サクヤヒメが結ばれたのに対して、稲穂の神ホオリ命(ヒコホホデミ)と海と水の神トヨタマヒメが結ばれたことで、この子孫である天皇には太陽と稲・山・水の属性が備わっていくことになります。
つばについて
ま、それはいいとして。
ここでホオリが玉を含むことで玉が器から取れなくなるという話に関してはコレといった説が無いので。私見を。
神社では酒を作っていました。酒は米から出来ます。米はまずデンプンを糖に変えてから、発酵することでアルコールが出来ます。そのデンプンから糖に変わるには米麹(コメコウジ)で分解させる必要がありますが、それは現在知識として知っているから「言える」だけのことであって、古代ではその方法は分かっていません。そこでデンプンを糖に変えるために、どうしたか?というと、「つば」で分解したのです。つばにはアミラーゼが含まれていて、でんぷんを糖に分解できます。気持ち悪いですが、米を炊いて、噛んで吐き出し、これを発酵させて「酒」を造ったのです。古代ではこの「咀嚼」は巫女さんがやっていました。

つまり「つば」には不思議な力があった、と考えていて、それがこの妙な表現に繋がったのではないか?と思います。稲穂の象徴の皇子ヒコホホデミ(=ホオリ)の唾に魔力があるのは、そういった意味では不思議じゃない、のではないでしょうか?
唾には呪力がある
参考:ハヤタマノオ
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