イスケヨリヒメは神の子

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イスケヨリヒメは神の子

漢字・読みイスケヨリヒメハカミノコ
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原文

「ここに媛女あり。こを神の御子と謂ふ。その神の御子と謂ふ所以は、三島湟咋の女、名は勢夜陀多良比売、その容姿麗美しかりき。故、美和の大物主紳、見感でて、その美人の大便まる時、丹塗矢に化りて、その大便まる溝より流れ下りて、その美人のほとを突きき。ここにその美人驚きて、立ち走りいすすきき。
すなはちその矢を将ち来て、床の辺に置けば、忽ちに麗しき壮夫(オトコ)に成りぬ。すなはちその美人を娶して生みし子、名は富登多多良伊須須岐比売命(ホトタタライススキヒメノミコト)と謂ひ、
亦の名は比売多多良伊須気余理比売(ヒメタタライスケヨリヒメ)と謂ふ。こはそのほとといふ事を悪(ニク)みて、後に名を改めつるぞ。故、ここを以ちて神の御子と謂ふなり」とまをしき。
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現代文訳

ここに良い少女がいます。
少女は神の御子といわれています。
神の御子といわれる理由は……

三島湟咋(ミシマミゾクヒ)の娘に勢夜陀多良比売(セヤダタラヒメ)という美しい少女がいました。美和(ミワ=三輪)の大物主紳(オオモノヌシ神)が彼女を気に入り、少女が大便をしているときに、丹塗矢(ニヌリヤ=丹を塗った赤い矢)に変身して、そのトイレの水が流れる溝に流れて、少女の陰部を突きました。

驚いた少女は慌てて走り回りました。

すぐにその矢を床に置くと、矢はたちまち立派な男になりました。その少女を美麗な壮夫(オトコ)が娶って生んだ子供が「富登多多良伊須須岐比売命(ホトタタライススキヒメ命)」です。別名を「比売多多良伊須気余理比売(ヒメタタライスケヨリヒメ)」といいます。
ホト(=陰部)という名前を嫌って後に名前を変えました。

そういうわけでイスケヨリヒメは神の御子というのです」とオホクメ命はいいました。
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解説

三島のミゾクヒは摂津国三島の溝咋神社のこと。摂津国三島は現在の大阪府三島のこと。前のページの「イワレビコの女性関係」では九州の阿多の女性アヒラヒメを娶りました。このページでは遠く飛んで大阪のお話です。オオモノヌシ大神神社神様オオクニヌシと同一視されています。

イスケヨリヒメの母にあたるセヤダタラヒメはよく分からない姫神です。タタラは鍛冶を行う際に火に風を送り込む鞴(フイゴ)のこと。つまり鍛冶関係の姫神です。
イスケヨリヒメも正式には「タタラ」の文字が見られることから、そもそもは鍛冶関連の神様だったのでしょう。

ホトタタライススキヒメ命のホトは陰部を表すとされますが、鍛冶で使う炉の中心部の「火窪(ホド)」のことと掛けている。
●丹塗り矢は赤く塗った矢のこと。雷神であるオオモノヌシの化身。矢に化けて陰部を突くという話は、丹塗り矢伝説という一種のパターン化した物語。

個人的コラム

矢に化けた神様が、トイレの少女を上流から流れに乗って、陰部を突くということは、当時、「水洗トイレ」があった。ということです。

鍛冶の姫神が大便しているときに雷神(=水神であり農耕神)に陰部を突かれるというのは、大便(=肥料)と鍛冶(=農具)が強いつながりを示唆している…のかも。考えすぎかもしれませんが。
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