疫病と大物主神

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疫病と大物主神

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現代文訳

祟神天皇のときに、疫病が流行して、国民が全滅しそうになりました。天皇は悲しみ、神の意思を問おうと神床(カムトコ)で眠りました。その夜、大物主大神(オオモノヌシ)が夢に出てきました。

「疫病はわたし(=オオモノヌシ)の意思だ。
意富多々泥古(オホタタネコ)という人物にわたしを祭らせれば、祟り(タタリ)は起きなくなり、国は平安になるだろう」
と言いました。

そこで駅使(ハユマヅカヒ)を放ち、あちこちで意富多々泥古(オホタタネコ)なる人物を探したところ、河内の美努村に意富多々泥古(オホタタネコ)を見つけ、朝廷に差し出しました。

祟神天皇
「お前は誰の子だ?」
と尋ねると答えて言いました。
「私は大物主大神(オホモノヌシノオホカミ)が陶津耳命(スエツミミノミコト)の娘である活玉依毘売(イクタマヨリビメ)を娶って産んだ櫛御方命(クシミカタノミコト)の子の飯肩巣見命(イヒカタスミノミコト)の子の建甕槌命(タケミカヅチノミコト)の子のオオタタネコです」
と答えました。
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解説

カムトコ(神牀)とは
現在、神社に行くと、拝殿で賽銭をあげて、二礼二拍一礼します。拝殿の向こうに本殿があります。つまり、神と人は別々の場所に居るものです。区切られているものです。あちらとこちらは違う世界です。それこそが神の神秘性を高めるものです。ところが、神社という形式が成立する以前、神と人は同じ高さの同じ空間に居たようなのです。同じ場所で食べ、語らい、寝ました。ここでのカムトコは寝ることで夢の信託を受ける場所のようです。神はまるで空気のようにそこにいつもあるものということです。別の見方をすると、天皇は神ではなく、神官という意味です。
オオモノヌシは祟り神
オオクニヌシの国作りで登場したオオモノヌシがここでは疫病を流行らせる祟り神として登場し、オオモノヌシはオオタタネコなる人物に自身を祭らせることで疫病は止むと言います。
しかし、オオモノヌシはオオクニヌシの幸魂とされ、オオクニヌシの分身。もちろん元々は別の神様だったのでしょうが、コレまでの物語から言えば、天孫の子孫である天皇よりも格下の存在のはずです。それが国が滅びかねないほどの祟りを起こすのはなぜでしょう??
恨みを買う理由があるから?
大和朝廷にオオモノヌシから恨みを買う覚えがあるからではないか?と考えることも出来ます。オオクニヌシから国を力尽くで奪ったのです。恨まれて当然です。しかし、これでシックリ来ますか?
天孫降臨は後から付け加えられた
実は天皇というか大王は、単なる神官でした。神では無く、神を扱う存在でした。大王が特別な存在となるために、天の血統を受け継いでいるという神話をあとから付け加えた。しかし、元々あった話――ここではオオモノヌシにあやうく滅ぼされかけるなど――そこに大王が弱かった次代の痕跡が残った、そう考える方がスッキリします。
もちろんオオモノヌシに恨まれる何かはあったかと思われます。
タケミカヅチ??
オオタタネコはオオモノヌシの子孫であるが、その系譜の中にタケミカヅチが居ます。ただし国譲りで出てきたタケミカヅチとは別の雷神とされています。というのもタケミカヅチという名前は「タケ」=強い、「ミカヅチ」=雷神という非常に単純な名前で、そもそもは地方の素朴な雷神です。古事記の国譲りでの活躍は編纂当時、力を持っていた藤原氏(=中臣氏)への配慮と思われます。
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原文

この天皇の御世に疫病(エヤミ)多に起りて、人民尽きなむとしき。ここに天皇愁へ歎きたまひて、神牀(カムトコ)に坐しし夜、大物主大神(オオモノヌシノオオカミ)御夢に顕れて曰りたまはく、「こは我が御心なり。かれ、意富多々泥古(オホタタネコ)を以ちて、我が前を祭らしめたまはば、神の気起らず、国も安平くあらむ」とのりたまひき。ここを以ちて駅使(ハユマヅカヒ)を四方に班ちて、意富多々泥古(オホタタネコ)といふ人を求めたまひし時、河内(カフチ)の美努村(ミノノムラ)にその人を見得て貢進りき。ここに天皇、「汝は誰が子ぞ」と問ひ賜へば、答へて曰さく、「僕は大物主大神(オホモノヌシノオホカミ)、陶津耳命(スヱツミミノミコト)の女、活玉依毘売(イクタマヨリビメ)を娶して生みましし子、名は櫛御方命(クシミカタノミコト)の子、飯肩巣見命(イヒカタスミノミコト)の子、建甕槌命(タケミカヅチノミコト)の子、僕 意富多々泥古(オホタタネコ)ぞ」と白しき。
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