第八段本文-1あなたたちの娘をわたしに差し出しなさい

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第八段本文-1あなたたちの娘をわたしに差し出しなさい

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原文

是時、素戔鳴尊、自天而降到於出雲国簸之川上。時、聞川上有啼哭之聲、故尋聲覓往者、有一老公與老婆、中間置一少女、撫而哭之。素戔鳴尊問曰「汝等誰也。何爲哭之如此耶。」對曰「吾是国神、號脚摩乳、我妻號手摩乳、此童女是吾兒也、號奇稻田姫。所以哭者、往時吾兒有八箇少女、毎年爲八岐大蛇所呑、今此少童且臨被呑、無由脱免。故以哀傷。」素戔鳴尊勅曰「若然者、汝、當以女奉吾耶。」對曰「隨勅奉矣。」

現代語訳

第八段本文
スサノオは自ら天から下って、出雲の簸之川(ヒノカワ=肥の川)の川上に降り立ちました。

そのとき、川上から呻き泣く声が聞こえました。

その声の聞こえる方へと行くと、老人と老女がいて、その間に一人の少女を置いて、その少女を撫でさすり泣いていました。

スサノオは聞きました。

「あなたたちは、誰だ?
なぜそのように泣いている?」

老人は答えました。

「わたしはここの国津神の脚摩乳(アシナヅチ)といいます。わたしの妻は手摩乳(テナヅチ)といいます。この少女はわたしたちの子供で、奇稻田姫(クシイナダヒメ)といいます。

泣いている理由というのが――元々私たちには八人の娘がいました。

その娘たちを毎年、八岐大蛇(ヤマタノオロチ)に呑まれていました。

今、この少女(=クシイナダヒメ)が呑まれるところです。免れる方法がありません。それで悲しんでいるのです」

スサノオは言いました。
「それならば、あなたたちの娘をわたしに差し出しなさい」

アシナヅチは答えました。
「仰せのままに、差し上げましょう」
古事記の対応箇所
出雲に降りたった
テナヅチ・アシナヅチ
大蛇への生贄
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性格・能力

スサノオ、勅して曰く
スサノオがアシナヅチに「娘をくれ」という発言(命令)を「勅(ミコトノリ)」という言葉で表現しています。この勅は天皇アマテラスイザナギといった命令を指しています。

スサノオは罪を犯し、その罪のために葦原中国へと落とされたために出雲にやってきたのですから、この「勅」という字は不適切な感じがします。

スサノオはその経緯はどうあれ、そもそも三貴神としてアマテラスに並ぶ神ですから、「勅」が当てられるのはおかしくないと言えば、おかしくありません。

ま、微妙。

個人的コラム

ツチ
テナヅチ・アシナヅチとクシイナダヒメ
手と足という名前よりも「ツチ」に目が行きます。雷のことを「イカヅチ」と呼びます。また「野槌(ノヅチ)=カヤノヒメカミ」という神もいます。火の神カグツチもです。

これらの「ツチ」という名前を持つ神はどれも「農業」で繋がっています。このツチはもしかしたら「土」ではないでしょうか??

テナヅチ・アシナヅチは土を手足でほぐし、開墾し、農業が出来る状態にすることを指しているのではないかと考えています。

ただ、日本はゴリゴリの農耕民族ですから、大抵のことが農業に関わっています。ツチという言葉が農業と関係しているのではなく、全部の神様が何かしら農業と関係しているだけかも。雷神は雷のあとに雨が降るから水神でもあり、雷が稲を孕ますと考えていたので、穀物神でもあります。つまり農業神です。

カグツチは焼き畑農業を象徴しているとも言われますが、カグツチから生まれた神には「刀」「剣」の神も沢山います。まぁ、だからといってカグツチが農業と関係ない、ということはありません。火は鉄を溶かし、農機具を作ったというのもあります。

なので「ツチ」=「土」というのはあくまで仮説ですよ。
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