第十段一書(三)−2罠に掛かっていた川雁を助ける

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第十段一書(三)−2罠に掛かっていた川雁を助ける

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原文

是時、弟往海濱、低徊愁吟。時有川鴈、嬰羂困厄。卽起憐心、解而放去。須臾有鹽土老翁來、乃作無目堅間小船、載火火出見尊、推放於海中。則自然沈去、忽有可怜御路、故尋路而往、自至海神之宮。是時、海神自迎延入、乃鋪設海驢皮八重、使坐其上、兼設饌百机、以盡主人之禮、因從容問曰「天神之孫、何以辱臨乎。」一云「頃吾兒來語曰『天孫憂居海濱、未審虛實。』蓋有之乎。」彦火火出見尊、具申事之本末、因留息焉。海神則以其子豊玉姫妻之。遂纒綿篤愛、已經三年。

現代語訳

第十段一書(三)−2
弟は海辺に行ってうな垂れ、あちこち歩いて、鬱々と彷徨っていました。そのとき、川雁(カワカリ=鳥の名前)が居て、罠に掛かって困っていました。弟は可哀相に思って、それを解放してから去りました。

しばらくして鹽土老翁(シオツチオジ)が来て、無目堅間(マナシカタマ=竹で編んだ目のキツイもの)で船を造り、火火出見尊(ホホデミノミコト)を乗せて、海の中に押し放ちました。船は自然と沈んでいきました。

たちまち可怜御路(ウマシミチ=良い道)がありました。そこでこの道の行くままに進んで行きました。すると海神(ワダツミ)の宮殿に到着しました。このときに海神(ワダツミ)自身が迎え、招き入れ、海驢(ミチ=アシカ)の皮をたくさん敷いてその上に座りました。また御馳走をたくさんの机に乗せて、主人(=海神)は禮(イヤ=礼)を尽くしました。そしておもむろに尋ねました。
「天神(アマツカミ)の孫(ミマ)はどうして、こちらにおいでになったのですか??」
ある伝によると、
「最近、わたしの娘から聞いたのです。
『天孫(アメミマ)が海辺で憂えんでいる』……と。
本当ですか?」
と尋ねた。

彦火火出見尊(ヒコホホデミノミコト)は詳細に事情を説明しました。それでこの海神の宮殿に留まって住む事になりました。彦火火出見尊(ヒコホホデミノミコト)は海神の子供の豊玉姫(トヨタマヒメ)を妻にしました。二人は仲睦まじく愛し合い、三年が過ぎました。
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解説

ウマシミチとウマシオハマ
このページでは竹で編んだ小舟に入れられたヒコホホデミがたどり着く場所が「ウマシミチ」で、ウマシミチを通っていると「海神の宮殿」にたどり着きます。
ウマシオハマと書かれているのは第十段本文−1海の幸と山の幸第十段一書(一)−3天垢と地垢です。これらのページでもやはり、「ウマシオハマ」を通り、宮殿へとついています。「ウマシ」は異界のもののよう。美味しいじゃないみたいです。ただし訳本には大抵「良い道」「良い浜」と書いてあります。まぁ、「良い」=「異界」という感覚もあったのではないかとも思います。
雁を助ける意味
雁はこの後、なんの関係もありません。なぜ「雁を助ける」くだりが出て来たのか? 「浦島伝説」を連想させます。助けた亀に連れられて、竜宮城に……
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