第十段一書(四)−3三床を設けて

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第十段一書(四)−3三床を設けて

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原文

時、有豊玉姫侍者、持玉鋺當汲井水、見人影在水底、酌取之不得、因以仰見天孫、卽入告其王曰「吾謂我王獨能絶麗、今有一客、彌復遠勝。」海神聞之曰「試以察之。」乃設三床請入。於是、天孫於邊床則拭其兩足、於中床則據其兩手、於內床則寛坐於眞床覆衾之上。海神見之、乃知是天神之孫、益加崇敬、云々。

現代語訳

第十段一書(四)−3
豊玉姫(トヨタマヒメ)の侍者(マカタチ=従者)が居ました。侍者は玉鋺(タマノマリ=宝石のお碗)を持って、泉(井戸)の水を汲もうとすると人の影が水底に映っているのが見えて、驚いて水を汲み取る事が出来ませんでした。それで天孫(アメミマ)を見上げました。それすぐに宮殿に帰って、王に報告しました。
「わたしは我が王、一人だけが優れて美しいと思っていたのですが、今、一人の客人を見ました。その方は、比べ物にならないほどに美しいのです」
海神(ワダツミ)はそれを聞いて言いました。
「それでは、その人物を見てみよう」
それで、三床(ミツノユカ=三つの床)を設けて、招き入れました。天孫は外側の床で両足を拭い、次の中の床では両手をついて、最後の内の床に眞床覆衾(マドコオフスマ)の上にアグラをかいて座りました。海神はこの様子を見て、この人物が天神(アマツカミ)の孫と知りました。それで、ますます崇敬(アガメウヤマウ)ようになりました。
云々。
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解説

美しいはすばらしい
海神の従者が「うちの王様は美しいけど、その王様より美しい人がいるんです!」と報告します。では美しいってどんな意味があるのかと思いませんでしたか??

日本では天岩戸での神事のように、「歌がうまい」「踊りがうまい」「にぎやかに太鼓を打ち鳴らす」といった心を動かすものが、天変地異すら沈めるという考えがあります。これは日本人に限った話ではないです。だから美しいってことにも「霊威」がある、のかもしれません。

見た目は大事
上に挙げた理由もありますが、それとは別にあります。
古代では権力者の顔はハッキリとはしていません。ネットも無いし新聞も雑誌も無いので、部外者や下々のものにとっては、誰がどのくらいの権力を持っているのかを「知る」のは非常に難しいことです。しかし、他国の使者や下々の者たちが「え?誰がえらいの?」とオタオタすると、失礼ですし軋轢もあるでしょう。そこで、誰の目にもハッキリと分かるようにしておくのが、何かと便利。業務遂行がスムーズになります。そこで、「見た目」=「地位」を表すことになります。「立派な服、立派なアクセサリー」=「地位」であり「権力」なわけです。
だから見た目、つまり「美しい」「麗しい」ってのは、権力者にとっては大事なわけです。
三床ってなんだ??
海神が用意した床のうち眞床覆衾(マドコオフスマ)に座ります。この眞床覆衾(マドコオフスマ)が「王の証明」です。ここに無意識に座っちゃうんだから「すごい」ってことです。
参考:眞床追衾
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