神風の伊勢の海の大石にやい這い廻る細螺

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冬十月癸巳朔(一)神風の伊勢の海の大石にやい這い廻る細螺

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原文

冬十月癸巳朔、天皇嘗其嚴瓮之粮、勒兵而出。先擊八十梟帥於国見丘、破斬之。是役也、天皇志存必克、乃爲御謠之曰、

伽牟伽筮能 伊齊能于瀰能 於費異之珥夜 異波臂茂等倍屢 之多儾瀰能 之多儾瀰能 阿誤豫 阿誤豫 之多太瀰能 異波比茂等倍離 于智弖之夜莽務 于智弖之夜莽務

現代語訳

冬10月の1日に天皇はその嚴瓮(イツヘ=土器の皿)の粮(オモノ=食べ物)を食べ、兵を整えて出発しました。
まず八十梟帥(ヤソタケル)を国見丘(クニミノオカ)で撃破して、斬り殺しました。この役(エダチ=戦い)で神武天皇には必ず勝利する意気込みがありました。そこで歌を歌いました。

神風の 伊勢の海の
大石にや い這い廻る 細螺(シタダミ)の 細螺の
吾子(アゴ)よ 吾子よ
細螺のい這い廻り 撃ちして止まむ 撃ちして止まむ
意訳
神風の吹く伊勢の海の
大きな石に這い廻る
小さな扁螺(キサゴ=巻貝の一種)よ。扁螺よ。
お前たち! お前たち!!
扁螺みたいに這い廻り、敵を撃ち取ってやろう!
撃ち取ってやろう!
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解説

神風の吹く伊勢
神風の…というのは伊勢の枕詞です。伊勢には風が吹き込むというのが古代の日本人の常識だったのでしょう。伊勢は貿易港という性質もあったんじゃないか?と。サルタヒコもこの辺りの神さまですし。
なぜ小さな貝を戦争に例えるの?
もっと強いもので例えればいいのに。
小さいし、弱そうだし、早くもないし、なぜ?
個人的には大和朝廷が「料理」によって神を鎮めるという性質があったからじゃないか?と思っています。おいしい食べ物は神を感動させて、それが天変地異を避け、豊穣を約束する、と。
実際、料理担当の久米氏が同時に軍事担当ですし、天皇はこの前の段で河原で飴を作っています。これから戦争ってのに呑気な話です。またおいしい食材が取れる地域が神社の格でも優遇されている傾向もあります。
それで「貝」で例えたのではないかと。
貝っていい出汁が取れますからね。
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