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加賀の潜戸の神話(支左加比売と佐太大神)
投稿日時:2017-12-16 11:05:25TWEET Facebook はてブ Google+ Pocket
加賀の潜戸の神話(支左加比売と佐太大神)
まとめ
●出雲国風土記に見られる神話。
●島根県に加賀の潜戸(クケト)で支左加比売が佐太大神を生んだ。
●潜戸の洞窟で産んだ時に、支左加比売は矢をなくして、「我が子が麻須羅神(マスラカミ=元気な立派な強い神)であれば、無くした弓矢は帰って来なさい」と祈念すると金の矢を手に入れた。
●その金の矢で洞窟の壁を撃つと、壁が壊れて日光が入ってきた。それで輝いた様子を見て「カカ」という地名がついたという。
●太陽創生の神話だと思われる。
●出雲国風土記に見られる神話。
●島根県に加賀の潜戸(クケト)で支左加比売が佐太大神を生んだ。
●潜戸の洞窟で産んだ時に、支左加比売は矢をなくして、「我が子が麻須羅神(マスラカミ=元気な立派な強い神)であれば、無くした弓矢は帰って来なさい」と祈念すると金の矢を手に入れた。
●その金の矢で洞窟の壁を撃つと、壁が壊れて日光が入ってきた。それで輝いた様子を見て「カカ」という地名がついたという。
●太陽創生の神話だと思われる。
物語・由来
加賀の潜戸
島根県に加賀の潜戸(クケト)という奇妙な洞窟があります。現在は大山隠岐国立公園の加賀地区にある洞窟です。洞窟は二つあり、そのうちの一つは三つの入り口と高さ40m長さ200mの大きなものです。
出雲国風土記によると
カミムスビの子供である支左加比売(キサカヒメ)がこの洞窟に入り、猿田彦(サルタヒコ=佐太大神)を産みました。その時のお話です。
支左加比売は大切にしていた弓矢が流されてしまいました。そこで支左加比売は
「我が子が麻須羅神(マスラカミ=元気な立派な強い神)であれば、無くした弓矢は帰って来なさい」
と祈念しました。すると動物の角で出来た弓矢が流れてきました。すると支左加比売は
「これは私のものではない」
と角の弓矢を投げ捨ててしまいました。
すると次は金の弓矢が流れてきました。支左加比売は金の弓矢を取り、「暗い窟(イワヤ)かな」
とその金の弓矢を放ちました。すると金の矢は洞窟の東の岩をぶち破って飛んで行き、ぽっかりと穴が空きました。そして東に空いた穴から日光が入ってきて、洞窟内が照らされたので
「あぁ!かかやけり(=輝けり)」
と言ったことで「カカ(=加加=現在の加賀)」という地名になりました。
島根県に加賀の潜戸(クケト)という奇妙な洞窟があります。現在は大山隠岐国立公園の加賀地区にある洞窟です。洞窟は二つあり、そのうちの一つは三つの入り口と高さ40m長さ200mの大きなものです。
出雲国風土記によると
カミムスビの子供である支左加比売(キサカヒメ)がこの洞窟に入り、猿田彦(サルタヒコ=佐太大神)を産みました。その時のお話です。
支左加比売は大切にしていた弓矢が流されてしまいました。そこで支左加比売は
「我が子が麻須羅神(マスラカミ=元気な立派な強い神)であれば、無くした弓矢は帰って来なさい」
と祈念しました。すると動物の角で出来た弓矢が流れてきました。すると支左加比売は
「これは私のものではない」
と角の弓矢を投げ捨ててしまいました。
すると次は金の弓矢が流れてきました。支左加比売は金の弓矢を取り、「暗い窟(イワヤ)かな」
とその金の弓矢を放ちました。すると金の矢は洞窟の東の岩をぶち破って飛んで行き、ぽっかりと穴が空きました。そして東に空いた穴から日光が入ってきて、洞窟内が照らされたので
「あぁ!かかやけり(=輝けり)」
と言ったことで「カカ(=加加=現在の加賀)」という地名になりました。
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神話について考える
この神話は「太陽の創生」の神話ですよね。猿田彦(サルタヒコ=佐太大神)は古事記でも「太陽神」と思われる記述がありますので、太陽の神です。その太陽神が洞窟で生まれたことと、金の矢で洞窟をぶち抜いたことで洞窟内に日が注ぐという物語は、かつては闇の世界だったところに太陽の神が生まれた経緯を刺しているんでしょう。
誓約
日本では誓約をというギャンブルをします。有名なのはスサノオとアマテラスで、スサノオの身の潔白を証明するために、
「私が潔白ならば女の子が生まれる!」
と宣言してから子供を産んで、女の子だったら潔白だと証明したことになるという、まぁ、これで証明したことになるのかどうかという疑問はさておいて、言葉に霊力があるという感覚が強い日本人ならではの儀式です。
この支左加比売の神話でも、「我が子が麻須羅神(マスラカミ=元気な立派な強い神)であれば、無くした弓矢は帰って来なさい」と宣言したら矢が帰って来るのですから、誓約ですよね。
角と金
動物の角と金の弓矢が流れてきて、角を拒絶して、金を取ったという物語は、経緯は違うとはいえ「金の斧・銀の斧」を彷彿としますよね。それは関係ないでしょうが。
動物の骨や角は海でも錆びず、釣り針や矢尻として利用していたようです。しかし、所詮カルシウムですから鉄や木と同じように時間とともに劣化して行きます。道具としてなら十分なんですよ。しかし、神話の中での弓矢というのは「所有権(権力)」も示唆しています。所有権というのは例えば一番わかりやすいもので「金の王冠」です。金の王冠を頭にかぶっている人物は権力者で、その金の王冠は親から子へと受け継がれる。ってことは金の王冠が権力の象徴であり、その国を所有する人物を表しているわけです。
となると、この所有権を象徴するものが、経年劣化するものよりはずっと形状の変わらないものであった方がいいですよね。となると角より金なんですよ。おそらくそういう「価値観の変化」というのがあったのではないかと。
●金の矢は太陽を象徴するシンボルとしてよく見られる。
誓約
日本では誓約をというギャンブルをします。有名なのはスサノオとアマテラスで、スサノオの身の潔白を証明するために、
「私が潔白ならば女の子が生まれる!」
と宣言してから子供を産んで、女の子だったら潔白だと証明したことになるという、まぁ、これで証明したことになるのかどうかという疑問はさておいて、言葉に霊力があるという感覚が強い日本人ならではの儀式です。
この支左加比売の神話でも、「我が子が麻須羅神(マスラカミ=元気な立派な強い神)であれば、無くした弓矢は帰って来なさい」と宣言したら矢が帰って来るのですから、誓約ですよね。
角と金
動物の角と金の弓矢が流れてきて、角を拒絶して、金を取ったという物語は、経緯は違うとはいえ「金の斧・銀の斧」を彷彿としますよね。それは関係ないでしょうが。
動物の骨や角は海でも錆びず、釣り針や矢尻として利用していたようです。しかし、所詮カルシウムですから鉄や木と同じように時間とともに劣化して行きます。道具としてなら十分なんですよ。しかし、神話の中での弓矢というのは「所有権(権力)」も示唆しています。所有権というのは例えば一番わかりやすいもので「金の王冠」です。金の王冠を頭にかぶっている人物は権力者で、その金の王冠は親から子へと受け継がれる。ってことは金の王冠が権力の象徴であり、その国を所有する人物を表しているわけです。
となると、この所有権を象徴するものが、経年劣化するものよりはずっと形状の変わらないものであった方がいいですよね。となると角より金なんですよ。おそらくそういう「価値観の変化」というのがあったのではないかと。
●実際に金であったかどうかではなく、古代の人が形状の変わらないものとして認識していたってことです。
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登場人物について
支左加比売(キサカヒメ)
古事記では「キサ貝比売(キサガイヒメ)」と書かれる。赤貝の女神で、造化三神の神産巣日の子供。オオクニヌシを治療して生き返らせた。
佐太大神
島根県松江市鹿島町佐陀宮内の佐太神社(かつては佐太大社とも)の主祭神。佐太大神は猿田彦というのが神社の公式見解でイコールで語られるが、それ以上の根拠はない。
ただ、上記の神話から考えれば、猿田彦と同じ太陽神であることは間違いない。
神産巣日(カミムスビ)
世界が生まれた時に現れた造化三神の1柱。高御産巣日(タカミムスビ)と対になっているとされ、高御産巣日が高天原系(大和朝廷系)とされるのに対して神産巣日は「出雲系」で、出雲神話に深く関わってくる。
ちなみに神産巣日も本来は太陽神だったのではないかと言われています。
古事記では「キサ貝比売(キサガイヒメ)」と書かれる。赤貝の女神で、造化三神の神産巣日の子供。オオクニヌシを治療して生き返らせた。
佐太大神
島根県松江市鹿島町佐陀宮内の佐太神社(かつては佐太大社とも)の主祭神。佐太大神は猿田彦というのが神社の公式見解でイコールで語られるが、それ以上の根拠はない。
ただ、上記の神話から考えれば、猿田彦と同じ太陽神であることは間違いない。
神産巣日(カミムスビ)
世界が生まれた時に現れた造化三神の1柱。高御産巣日(タカミムスビ)と対になっているとされ、高御産巣日が高天原系(大和朝廷系)とされるのに対して神産巣日は「出雲系」で、出雲神話に深く関わってくる。
ちなみに神産巣日も本来は太陽神だったのではないかと言われています。
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