藤の花で身を隠す

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藤の花で身を隠す

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原文

ここにその弟、兄の言ひしが如く、具(ツブサ)にその母に白せば、すなはちその母、ふぢ葛を取りて、一宿(ヒトヨ)の間に、衣・褌また襪(シタクツ)・沓(クツ)を織り縫ひ、また弓矢を作りて、その衣(キヌ)・褌(ハカマ)等を服せ、その弓矢を取らしめて、その嬢子の家に遣はせば、その衣服また弓矢悉(コトゴト)に藤の花になりぬ。ここにその春山之霞壮夫(ハルヤマノカスミヲトコ)、その弓矢を嬢子の厠(カハヤ)に繋けき。ここに伊豆志袁登売(イヅシヲトメ)その花を異しと思ひて、将ち来る時に、その嬢子の後に立ちてその屋に入る即ち婚ひしつ。かれ、一の子を生みき。ここにその兄に白して曰はく、「吾は伊豆志袁登売(イヅシヲトメ)を得つ」といひき。
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現代文訳

弟は兄のいったことを詳細に母に伝えました。すると母は藤のツルを取り、一晩の間に「衣」「袴」「靴」を織って造りました。また弓を作って、弟に着せ、イズシオトメの家に行かせました。

するとその衣服や弓はみるみる藤の花になりました。

弟ハルヤマノカスミオトコは弓矢をトイレのドアに立てかけました。イズシオトメはその弓矢に咲いた藤の花を不思議に想い、藤の花を取って家に入りました。

そのとき弟ハルヤマカスミオトコはイズシオトメの後を着いて家に入り、すぐにまぐわってしまいました。

1柱の子を産みました。

弟ハルヤマカスミオトコは兄に

「わたしはイズシオトメを妻にした」
と言いました。
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解説

いやいや、単なるゴーカンじゃね?
古代は女性の家に男が通う「通い婚」で、「家に入れてもらえる」ということは「妻を得た」ということになります。戸籍が無いので「形式」が無いんですよね。

「イズシオトメを得られない」神々はどうして「得られない」かっていうと、ようはイズシオトメのガードが固くって「アレできねぇよ」ということだったんですね。エグイなぁ。

そこで弟は母親の入れ知恵で全身を藤の花で覆って、誰か分からなくした。迷彩服を着たとか、透明人間になったとか、そういう意味です。

当時の「トイレ」は「かわや」、つまり「川」の「屋」で、天然の川に糞尿を流す「水洗トイレ」でした。だからトイレは当然戸外にあります。

そしてトイレに出てきたイズシオトメの後をつけ、室内に入るとすぐにヤっちゃった。現代なら単なる犯罪ですよ。

個人的コラム

春と秋、トイレ、藤の花
兄弟の名前は「秋山之下氷壮夫」と「春山之霞壮夫」。春と秋を象徴しています。

春の花である藤の花、トイレ――つまり肥料のこと、あと結婚と出産。

この物語を出石氏が持っていた朝鮮由来の物語とする人も居ますが、要素が非常に日本的。ここまでの物語が「三輪系説話」と似ていますが、農業と季節を表した物語の要素が強い。

なんとなくですが、春に結婚するが「良い」という意味かもしれない。秋はかきいれ時。忙しいから結婚は春の藤の花が咲く頃、みたいな。
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