大兄去来穗別皇子のために壬生部を、皇后のために葛城部を

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仁徳天皇(十三)大兄去来穗別皇子のために壬生部を、皇后のために葛城部を

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原文

秋八月己巳朔丁丑、爲大兄去來穗別皇子、定壬生部。亦爲皇后、定葛城部。九月、諸国悉請之曰「課役並免既經三年、因此以、宮殿朽壤府庫已空、今黔首富饒而不拾遺。是以、里無鰥寡、家有餘儲。若當此時、非貢税調以脩理宮室者、懼之其獲罪于天乎。」然猶忍之不聽矣。

現代語訳

(即位7年)秋8月9日。
大兄去来穗別皇子(オオエノイザホワケノミコ=履中天皇)のために壬生部(ミブベ)を定めました。また皇后のために葛城部(カヅラキベ)を定めました。

9月。
諸国のすべてが天皇にお願いしました。
「課役(オオセツカウコト)を免除されて、すでに三年が経っています。そのせいで宮殿(オオトノ)は朽ち崩れて、府庫(ミクラ=天皇の倉庫)は空っぽです。いま、黔首(オオミタカラ)は富み、豊かになって、落ちているものも拾わない。里に鰥寡(ヤモオヤモメ=独り者)はいないし、家には蓄えがあります。もし、このときに税調(オオミチカラミツキ)を献上させて、宮室(オオミヤ)を修理しないならば、おそらく天から罪罰を与えられるでしょう」
しかし仁徳天皇はそれでも猶、諸国の願いを聞き入れませんでした。
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解説

黔首
黔首は「髪が黒い」という意味です。高貴な人たちは髪に飾りをしていました。それに対して下々のものは「髪が真っ黒」ってことです。つまり、人民という意味合いです。
鰥寡
鰥寡(ヤモオヤモメ)は夫を失った女「ヤモメ」と妻を失った男「ヤモオ」、つまり身寄りのない人で、古代の政治では「助けないといけない人」の代表でした。平均寿命が短いですから、なおさらです。ちなみに「孤独」と組み合わせて「鰥寡孤独(カンカコドク)」と言います。この「孤独」の「孤」は親のない子。「独」は「子の無い老人」です。この「鰥寡孤独」という単語は「孟子」にも登場する言葉です。
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