中国の経済指標は嘘だが、捏造・不正とはちょっと違う

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中国の経済指標は嘘だが、捏造・不正とはちょっと違う

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概要

まとめ
●脱税するならば、申告したものとは別に現状を把握するための裏帳簿が存在するのが当然。しかし、中国の経済指標は嘘の申告であっても裏帳簿が存在しない。
●中国政府は「実際の数字」を把握していない。
●儒教では道徳があるものが上に立つ。
●道徳の有無を測るものが結果。
●悪い結果は報告したくないし、上司もされたくない。
●結果、中国政府には事実が集まらない。
●儒教には神がいない。
●他国で真実を管理しているのは神。噓を吐けば神が罰する。だから嘘をつけば罪悪感を抱く。
●嘘をついても罪悪感を抱かない。
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不正には裏帳簿があるもの

脱税
もしもあなたが脱税するとします。
経費を水増しして利益を小さく見えるようにして税務署に申告して税金を減らします。でも、単に税金を減らして、利益を手元に残すだけではダメです。税務署は銀行のお金の移動を把握していますから、あなたの口座で大きなお金が存在したり、大きな金が動くと「おかしい」となりますよね。だから裏帳簿を作ります。裏帳簿を作って「実際のお金の出入り」がどうなっているのかを把握して、その上で誤魔化さないと脱税って出来ないのです。出来ないと言うか成立しないんです。
裏帳簿をつけて実像を把握しなくてはいけない
なので、裏金とか脱税とか、そういうものには裏帳簿で「実際のところはどうなのか?」を把握してないといけません。じゃないと無茶苦茶になってしまいます。変な話なんですが、不正ってのは「優秀」で「まめ」じゃないと成立しないんですよね。
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中国の経済指標には裏帳簿がない

で、中国の経済指標ってのは、上記の例で言うところの「裏帳簿」が存在しないんです。裏帳簿が存在しないってことは、中国政府(中国共産党)も「実体経済の状態」を正確には把握していないのです。私たちがイメージする「経済指標の捏造」ってのは「実際」を公表するのが嫌だから「嘘の数値を作り上げる」って意味ですよね。そうじゃない。誰も「本当のところ」が分からないんです。

どうしてそんなことになるのか?
これは結局儒教の考え方にあります。

道徳第一主義

儒教では道徳が重んじられます。道徳がある人が上に立ち、道徳の有無によって王…つまり統治者が選ばれるものです。そして道徳があると世の中はうまくいく、と考えています。実際のところではなくて、みんながそう考えているわけです。となると、世の中が上手くいかない場合…例えば経済成長が鈍った場合、誰が悪いのかというと統治者(ここでは中国共産党)です。統治者に道徳がないから、世の中が上手くいかないわけです。となると、中国は経済指標が悪化しても正しい数字を発表できません。悪い結果ということは中国共産党の「正当性」に問題があるということになり、クーデターや革命の確率が高まるのです。

問題はここからです。
ここまでだと中国共産党は正しい数字を把握していることになります。
でも、そうではありません。

道徳が大事な儒教では、相対的に「事実」より道徳が重んじられます。「事実より道徳」ということは上下関係という道徳が重んじられる社会では、都合の悪い事実を報告しなくなります。というか社会全体が事実を重んじていないんです。そこで「事実」より「上層部が好ましいであろう嘘」が報告されます。
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不道徳な事実は報告したくない

例えば中国で列車事故が起きて大量の人間が死んだとしても隠蔽します。列車をそのまま埋めてしまったということがありましたよね。なぜそんなことになるのかというと大事故が起きるのは上層部の不道徳の表れだからです。そのような不道徳な報告はできない。したくない。本当は報告しないとダメなんですよ。事故の実態を明らかにしないと今後もまた同じような事故が起きるでしょう。

でも隠す。「事実」より「上司を立てるという道徳」が優先するからです。そして上司もその「不道徳な事実」を嫌がるので、「嘘」という扱いではなくなります。この繰り返しで、上層部まで「事実」が伝わりません。
本当がない
これが経済指標にも当てはまります。つまり、何一つ本当が無いんです。大事なポイントは中国共産党が嘘を言っているというよりも、国全体で数字が誤魔化されているってことです。ですから中国経済は「何が問題」で「何に手をつければいいか?」が権力者である中国共産党自身にも把握できないというのが、正しい現実です。

今後、経済が破綻するのは間違いないし、持ち直すことも、踏みとどまることも、復活することもないです。破綻がいつなのか?どのくらいの規模か?という問題だけです。
●企業はさすがに現状を把握しなくてはいけないので、数字の誤魔化しを下部組織からやってることはないだろうが、企業が発表する数字が正しいかどうかは、上記の理由からやはり怪しいと考えるべき。ただし、それはどこの国の企業もそういうことはある。日本でも粉飾決算があるように。
●儒教では道徳が大事で道徳は法律より大事です。よって法律やお達しで命じても効果があるかは微妙。多分ない。
●私は中国経済は破綻しないと考えています。正確には破綻を認めないだけ、実質破綻なんですが。そういう状態に嵌まり込むと思います。
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原因は政治体制ではなく文化

日本人からすればこんなことはあり得ません。日本人にとって人間は死後、神となります(もしくは仏でも可)。神となれば、嘘を見抜き、暴き、祟るのです。だから嘘にはそれに見合うだけの罰が与えられる。だから嘘なんてついたって無駄。いずれ人外の力で辻褄が無理矢理にでも合わせられてしまうのです。よって嘘はつかない。つかない方が偉い。それが当然の感覚です。でも、儒教ではそれはない。儒教には神はいないのだから。

中国が順調に経済成長している時はいいのです。
でもそれが一旦鈍化し始めると、正確な情報は集まらない。
まぁ、成長している時だって本当の数値だったか、怪しいものですがね。
でも、悪い情報はとにかく報告したくないのです。その根幹にあるのは「事実より道徳」と「神がいない」という儒教の性質です。

だから中国の経済指標はあてにならない。そしてそれはこれからも永遠にそうなんです。別に中国共産党が独裁だから数字が歪められているのではありません。経済指標の捏造は文化を土台にした「現象」なんです。民主化しようと変化はないでしょう。
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