第五段一書(六)-5三貴神の誕生と統治

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第五段一書(六)-5三貴神の誕生と統治

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原文

然後、洗左眼。因以生神、號曰天照大神。復洗右眼。因以生神、號曰月讀尊。復洗鼻。因以生神、號曰素戔鳴尊。凡三神矣。已而伊弉諾尊、勅任三子曰、天照大神者、可以治高天原也。月讀尊者、可以治滄海原潮之八百重也。素戔鳴尊者、可以治天下也。是時素戔鳴尊、年已長矣。復生八握鬚髯。雖然不治天下、常以啼泣恚恨。故伊弉諾尊問之曰、汝何故恆啼如此耶。對曰、吾欲從母於根国、只爲泣耳。伊弉諾尊惡之曰、可以任情行矣、乃逐之。

現代文訳

第五段一書(六)-4 海の神々の続き
第五段一書(六)-5
イザナギが左目を洗うと神が生まれました。
名前を天照大神(アマテラス)といいます。
右目を洗うと神が生まれました。
名前を月読尊(ツキヨミ)といいます。
鼻を洗うと神が生まれました。
名前を素戔鳴尊(スサノオ)といいます。
合わせて三柱の神です。

イザナギは三柱の神に仕事を与えました。
「天照大神は高天原を治めなさい。
月読尊は蒼海原を治めなさい。
スサノオは天下を治めなさい」

この時、スサノオはすでに大人になっていて、長いヒゲも生えていました。ところが、天下を治めず、泣き喚いて駄々をこねました。

そこでイザナギが聞きました。
「どうして、いつも泣いているのか?」
スサノオは答えました。
「わたしは根の国の母(=イザナミ)を慕っているのです。それで泣いているのです」
イザナギは不愉快になり、
「好きにしろ!!」とスサノオを追放してしまいました。
古事記の対応箇所
三貴神の誕生
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解説

三貴神の関係
太陽と月と風。太陽は昼、月は夜。それだけでなく、海に居る時に自分の位置と方角を示す存在です。スサノオが表す「風」は、帆船があったかどうかはともかく、推進力であり、同時に海が荒れて転覆する原因ともなる恐ろしい存在です。
参考:日本神話では「左」が優位で「右」が下位
日本人はタタリを恐れる
日本人の宗教は基本的に「タタリを鎮める」ものです。怖いから、「まぁまぁ、そうおっしゃらずに、お怒りを鎮めてくださいよー」とお供え物をして機嫌を取るのが日本の宗教です。つまり、恐ろしい存在がより強い霊威を持つことになります。
縄文人も弥生人も海を伝って日本にやってきました。遺伝子の分布を考えると縄文人は確実に台湾沖縄を経由しています。弥生人も中国から直接来た可能性もありますが、縄文人と同じルートをたどったのではないか、と思われます。

その当時の日本人にとって海と船が生活の基盤でした。その生活では、何より恐ろしいのは「風」でした。風が波を起こし、嵐を起こし、船をひっくり返すのです。恐ろしい霊威を感じたでしょう。確かに太陽と月は方角を示す頼れる存在でしたが、それよりも風の恐怖は凄まじいものだったハズです。

スサノオが根の国(死者の国)の母を思い泣き喚くのはスサノオに風が嵐を呼び船をひっくり返し、人々を殺すという「死」の匂いがあったからだと考えています。
イザナミ・イザナギも海の民族の神と言われています。

海運から稲作へ
海の民の縄文人弥生人が日本で農業を始め、ついに水田稲作を行うようになると、重要な存在は風から太陽に移ります。相変わらず月は影が薄いです。
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