孝徳天皇(三十五)第三者の証言があっても裁決はしない・強引に祓除を求める

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孝徳天皇(三十五)第三者の証言があっても裁決はしない・強引に祓除を求める

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原文

復有屢嫌己婦姧他、好向官司請決。假使得明三證、而倶顯陳、然後可諮。詎生浪訴。復有被役邊畔之民、事了還鄕之日、忽然得疾臥死路頭、於是、路頭之家乃謂之曰、何故使人死於余路。因留死者友伴、强使祓除。由是、兄雖臥死於路、其弟不收者多。復有百姓溺死於河、逢者乃謂之曰、何故於我使遇溺人。因留溺者友伴、强使祓除。由是、兄雖溺死於河、其弟不救者衆。復有被役之民路頭炊飯、於是、路頭之家乃謂之曰、何故任情炊飯余路、强使祓除。復有百姓就他借甑炊飯、其甑觸物而覆、於是、甑主乃使祓除。如此等類、愚俗所染。今悉除斷、勿使復爲。
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現代語訳

また自分の妻が他の男と浮気したと疑って、自分から率先して官司(ツカサ=役人)の元へと行き、裁決(=ここでは離婚のこと)を請うことがある。たとえ、明らかな第三者の証言があっても、二人共が一緒にハッキリと陳情して、そうして後に(裁決を)申し付けなさい。みだりに訴えるようになるから。

また使役された辺畔(ホトリノクニ=辺境の国)の民が居て、仕事が終わって国に帰るという日に、突然、病気になって、道のほとりで死んでしまった。するとこの道のほとりの家が、こう言う。
『どうして、人がうちの道ので死んだんだよ!』
それで死んだ人の友人・同伴者を引き止めて、強引に祓除(ハラエ=穢れを祓うための費用)を払わせる。それで兄が道で死んだといっても、その弟は遺体を回収しないものが多い。

また百姓がいて、川で溺死した。見たものがこう言った。
『どうして、私は溺れた人と偶然、見てしまったのか!』
それで溺れた人の友人や同伴者を引き止めて、強引に祓除(ハラエ)を払わせる。それで兄が河で溺れ死んでも、弟は救わないものが多い。

また使役された民がいて、道のほとりでご飯を炊いた。道のほとりの家はこう言った。
『どうして、心のままに、私の家の道でご飯を炊くのか!』
強引に祓除(ハラエ)を払わせる。

また百姓がいた。人から甑(コシキ=米を炊く土器)を借りて、ご飯を炊いた。その甑(コシキ)が物に触れてひっくり返った。すると甑(コシキ)の持ち主が祓除(ハラエ)を払わせる。
これらのような類いの愚俗(オロカヒト)から染まったものだ。今、全てを止めて、二度としないように。
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解説

穢れについて
日本人は穢れを嫌う。潔癖なんですよ。
自分の家の前の道でご飯を炊いただけで、道が穢れ、家が穢れる。だから、穢れを祓う代金を取る。まぁ、そういうことです。
そんで米を炊く道具がひっくり返った。普通なら、洗えばいいじゃないですか。でも、そういうことじゃない。洗って穢れが落ちるなら苦労しない。穢れたのだから、これは然るべき施設でお祓いしないといけない。だからその費用を出せ。ということです。
この穢れはようは「汚れ」のことです。

穢れには「死の穢れ」というのもあります。
家の前で人が死んだ。その穢れを祓わないといけない。だから死者の遺族に無理やりにお祓いの代金を求める。溺死の場合もそうです。縁起の悪いものを見ちゃった。だからお祓いしないといけない。だからお祓いの代金を払え、と。

こう考えると古代の人はかなり穢れに敏感だったようです。相当ですよね。
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