㖨国と卓淳が滅んだ理由・内応と弐心

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欽明天皇(二十八)㖨国と卓淳が滅んだ理由・内応と弐心

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原文

臣深懼之、佐魯麻都、雖是韓腹位居大連、廁日本執事之間入榮班貴盛之例、而今反着新羅奈麻禮冠、卽身心歸附於他易照。熟觀所作、都無怖畏、故前奏惡行、具錄聞訖。今猶着他服、日赴新羅域、公私往還、都無所憚。夫㖨国之滅、匪由他也。㖨国之函跛旱岐、貳心加羅国而內應新羅、加羅自外合戰、由是滅焉。若使函跛旱岐不爲內應、㖨国雖少未必亡也。至於卓淳、亦復然之。假使卓淳国主不爲內應新羅招冦、豈至滅乎。歷觀諸国敗亡之禍、皆由內應貳心人者。今麻都等、腹心新羅、遂着其服、往還旦夕、陰搆姧心。乃恐、任那由茲永滅。任那若滅、臣国孤危。思欲朝之、豈復得耶。伏願天皇、玄鑒遠察、速移本處、以安任那。」
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現代語訳

わたしめが深く恐れていることは、佐魯麻都(サロマツ)は韓腹(カラクニノウマレ=朝鮮半島の生まれ)といっても、位は大連なのです。日本の執事(ツカサ=役人)の間に交わって、栄え、楽しい例に入っています。しかし、今、帰って新羅の奈麻禮冠(ナマレノカウブリ)を着ています。心身が従い、帰るところは現れやすいものです(=正体を現すという意味あい)。その慣れた行動を見るに、恐れている様子はありません。以前の悪行を申し上げたように、詳細に記録しています。今も他国の服を着て、日々、新羅の国境に行き、公私にわたって行き帰りしているのを憚(ハバカ)る様子もありません。

㖨国(トクノクニ)が滅んだ理由も他でもありません。㖨国の函跛旱岐(ガンヘカンキ)が加羅国に弐心(フタゴコロ=内通している)があって、新羅と内応して、加羅が外の国と合わせて戦いました。それで㖨国は滅びたのです。もし、函跛旱岐(ガンヘカンキ)が内応しなかったら、㖨国は小さな国といっても、まだ滅んではいなかったでしょう。卓淳(トクジュン)もまた同様です。もし、卓淳国の主(ニリム)が新羅に内応して寇(アタ=敵・賊)を招くことをしなかったら、滅んではいなかったでしょう。諸国の滅んだ禍(ワザワイ)を省みると、皆、内応する弐心(フタゴコロ)がある人に理由があります。今、麻都たちは新羅に腹心(ウルワシク=恭順し従う心)があり、ついにその新羅の服を着て、朝夕に新羅に往来し、密かに騙そうと準備しています。恐ろれているのは、任那はこれによって永遠に滅ぶことです。任那がもしも滅びれば、わたしめの国は孤立し危険です。大和朝廷に通おうとしても、どうしたらいいのでしょうか。伏して願います。天皇は、遥か世界を照らし、遠くまでを見て、速やかに移那斯・麻都を本国へと異動させて、任那を安らかにしてください」
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解説

長かった。
内容は新羅の奸計について。㖨国も、卓淳国も、新羅との内通者によって滅んでしまった。小さな国だけど、内通者がいなかったらそうはならなかった。新羅は悪い奴です。移那斯・麻都は新羅と内通していて、見てないところでは新羅の服を着て、新羅と往来していると。このまま任那が滅んでしまうと百済は孤立して滅んでしまう。とにかく移那斯・麻都を任那から追い出してくれと。

古代では服が個人の「役職」を現すものでした。つまり服は個人の属する組織を現すものだと言っていいでしょう。現代でも高校生が他校の学生服を着て高校に行ったら問題ですよね。大和朝廷のではなく新羅の服を着ていたということは、反抗心を現すエピソードになるわけです。
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