本来の姿で出産する

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本来の姿で出産する

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原文

爾に産みまさむとする時に、其の日子に白したまひけらく、「凡て佗国の人は、産む時に臨れば、本つ国の形を以ちて産生むなり。故、妾今、本の身を以ちて産まむとす。願はくは、妾をな見たまひそ。」と言したまひき。

現代語訳

トヨタマヒメが産もうとするときに、日子(ヒコ=ここではホオリ命のこと)に言いました。

「全ての異国人は産むときには
本国の姿となって産みます。

だから、わたしめは今から、本来の姿となって産みます。
お願いだから、わたしめを見ないでください」

解説

見るなよ、見るなよ、お前、絶対見るなよ
と、ダチョウ倶楽部の上島竜平は言った

海神の娘のトヨタマヒメは出産のときになると、その本来の姿を取り戻してしまう。今から出産するので見ないで欲しい――女心としては当然な感情ですが、しかし好奇心という本能に負けてしまうホオリ命。結局見てしまいます。父親ニニギと同じ轍を踏むことになるとは。

本来の姿を取り戻す?
見るなといわれると見てしまう。これは鶴の恩返しでも見られる、起きる典型的説話の形です。これらの説話の根幹は「見るな、といわれると見ちゃう」ということではなく(ま、それも面白いのですが)、配偶者が「異人」「異形」――つまりは「人間じゃない」ってことです。人間ではないものだからこそ、呪力や魔力があり、特別な恩恵を受けるわけです。今まではワダツミ神(海神)の水の神としての力で兄を倒しました。また、水の神の子供を授かりました。その恩恵を受けきったところで、調子に乗ったホオリがトヨタマヒメを裏切ることで、その関係は鶴が恩返しして帰っていくように、途絶もしくは縮小します。

この物語の根っこは、異形であり恐ろしい存在と、神秘的で豊かさをもたらす存在が、表裏一体となっているという思想です。それは日本人の思う「神」と「鬼」の関係でもあるのです。
参考:豊玉姫の出産とメルシナ型神話
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