第十段本文−5海と陸との間を永遠に行き来出来る道

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第十段本文−5海と陸との間を永遠に行き来出来る道

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原文

後豊玉姫、果如前期、將其女弟玉依姫、直冒風波、來到海邊。逮臨産時、請曰「妾産時、幸勿以看之。」天孫猶不能忍、竊往覘之、豊玉姫方産化爲龍。而甚慙之曰「如有不辱我者、則使海陸相通・永無隔絶。今既辱之、將何以結親昵之情乎。」乃以草裹兒、棄之海邊、閉海途而俓去矣。故因以名兒、曰彦波瀲武鸕鷀草葺不合尊。後久之、彦火火出見尊崩、葬日向高屋山上陵。

現代語訳

第十段本文−5
豊玉姫(トヨタマヒメ)は以前約束した通りに、妹の玉依姫(タマヨリヒメ)を釣れて、波風の荒い日に海辺に訪れました。子供を産もうとしたときに言いました。
「わたしが子を生むところを、あなた(=ヒコホホデミ)は見ないでください」

天孫(アメミマ=ヒコホホデミ)は我慢出来ずにこっそりと産屋に行って覗いてしまいました。豊玉姫(トヨタマヒメ)は子を産むために龍になっていました。

豊玉姫(トヨタマヒメ)はとても恥に思い言いました。
「もし私を辱(ハズカシ)めなければ、海と陸との間に永遠に行き来出来る道を作ったのに。こうして辱めてしまいました。どうして仲睦まじくできるでしょうか」
そしてすぐに茅(カヤ)で子供を包み、海辺に捨ててしまい、海の道を閉ざして豊玉姫(トヨタマヒメ)は去ってしまいました。

その子の名前を彦波瀲武鸕鷀草葺不合尊(ヒコナギサタケウガヤフキアエズミコト)といいます。その後、長い時間が経って彦火火出見尊(ヒコホホデミノミコト=山幸彦)は亡くなりました。日向の高屋山の上の陵(ミササギ=墓)に葬りました。
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解説

ウガヤフキアエズの名に由来は?
ウガヤフキアエズという名前は鳥の鵜の羽で作った屋根の産屋を造っていた途中に産気づいて、出産してしまったから、「鵜の羽の屋根をふき終えてない」で「ウガヤフキエアズ」だったのに、ここでは「鵜」も「作る途中」も出てこないのに、「ウガヤフキアエズ」という名前だけはしっかりと残ってます。

古事記では八尋和爾(ヤヒロワニ)でした。
参考:奥さまはワニ!
ヤヒロワニは大きなワニという意味か、大きなサメという意味です。和爾がそのまま「ワニ」なのか、古代の言い方が「ワニ」なだけで、サメを指しているのか?は分かりません。
で、このページでは「龍」に成っています。
龍は皇帝を表すモチーフで、朝鮮では龍をモチーフにすることは許されませんでした。
●龍をモチーフにするということは「皇帝」が存在することになり、同時に反逆を意味します。
●朝鮮で許されたのは鳳凰まで。
●1897年に皇帝の居ない李氏朝鮮が大韓帝国となり皇帝が出来ると最初にやったことは龍をモチーフにした絵やオブジェを作る事だった、とか。

日本では天皇が居るので龍をモチーフに出来ます。それは天皇が皇帝であり、日本が独立国家であることの証明でもあります。
●龍を政治的に見ればそうなりますが、龍自体は珍しいモチーフではないです。
●龍が現在のように長いものになったのは12世紀。ソレ以前は胴体の短い「ワニ」に似たものだった。
●龍はヨウスコウワニ(体長4m)ではないか?という説は結構信憑性がある。
●よって、古事記で和爾がここで龍になっているのは、あながち「書き換え」や「政治的意図」があってとは限らない。「龍」=「ワニ」ということも十分ある。

個人的コラム

海との隔絶
この神話は太陽と月が喧嘩して昼と夜の区別が生まれたというものと同じではないか?と。参考:第五段一書(十一)ウツシキアオヒトクサ
この海との往来の道が無くなった、覗かなかったら永遠に行き来出来る道を造ったのに、というのは、「かつては海と陸に境目は無かったけど、今、両者が別れているのは、こういう神話があるからなんだよ」という説明ではないか?と思います。
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