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垂仁天皇(七)兄と妹の謀反
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四年秋九月丙戌朔戊申、皇后母兄狹穗彦王、謀反、欲危社稷、因伺皇后之燕居而語之曰「汝孰愛兄與夫焉。」於是、皇后不知所問之意趣、輙對曰「愛兄也。」則誂皇后曰「夫、以色事人、色衰寵緩。今天下多佳人、各遞進求寵、豈永得恃色乎。是以冀、吾登鴻祚、必與汝照臨天下、則高枕而永終百年、亦不快乎。願爲我弑天皇。」仍取匕首、授皇后曰「是匕首佩于裀中、當天皇之寢、廼刺頸而弑焉。」皇后於是、心裏兢戰、不知所如、然視兄王之志、便不可得諫。故受其匕首、獨無所藏、以著衣中。遂有諫兄之情歟。
現代語訳
即位4年秋9月23日。
垂仁天皇の皇后(=サホビメのこと)の同母兄の狹穗彦王(サホビコノミコ)が謀反(ミカドカタブケムトハカリ)し、社稷(クニ)を危ぶめようとしました。
皇后が家でくつろいでいるところに狹穗彦王が来て、言いました。
「お前は、兄と夫(=垂仁天皇)と、どちらが愛しいか?」
皇后は本当の心を隠して
「兄を愛しています」
と答えました。
狹穗彦王は皇后を焚きつけました。
「色(カオ)で仕えるということは、色(カオ)が衰えると寵(メグミ=天皇からの寵愛)は無くなってしまう。今、天下には佳人(カオヨキヒト=美人)は沢山いる。それぞれが寵(メグマレムコト=天皇からの寵愛)を求めている。どうして永遠に色(カオ)に頼れるか。
私に皇位を得させてくれれば、必ずお前と天下を治めよう。それで枕を高くして永遠に100年を過ごすのも悪くないだろう。頼むから、私のために天皇を殺してくれ」
それで匕首(ヒモカタナ=あいくち=小刀)を取り出し、皇后に授けて言いました。
「この匕首を衣の中に隠して、天皇が寝ているときに、首を刺して殺してくれ」
皇后は心の中で恐れ震えて戦慄いて、どうすればいいか分かりませんでした。しかし、兄の志を見ると、簡単に諌めることはできそうにありません。それでその匕首を受け取り、独りで隠し切れそうにもなく、衣の中にしまいました。ついに兄を諌めることはできませんでした。
垂仁天皇の皇后(=サホビメのこと)の同母兄の狹穗彦王(サホビコノミコ)が謀反(ミカドカタブケムトハカリ)し、社稷(クニ)を危ぶめようとしました。
皇后が家でくつろいでいるところに狹穗彦王が来て、言いました。
「お前は、兄と夫(=垂仁天皇)と、どちらが愛しいか?」
皇后は本当の心を隠して
「兄を愛しています」
と答えました。
狹穗彦王は皇后を焚きつけました。
「色(カオ)で仕えるということは、色(カオ)が衰えると寵(メグミ=天皇からの寵愛)は無くなってしまう。今、天下には佳人(カオヨキヒト=美人)は沢山いる。それぞれが寵(メグマレムコト=天皇からの寵愛)を求めている。どうして永遠に色(カオ)に頼れるか。
私に皇位を得させてくれれば、必ずお前と天下を治めよう。それで枕を高くして永遠に100年を過ごすのも悪くないだろう。頼むから、私のために天皇を殺してくれ」
それで匕首(ヒモカタナ=あいくち=小刀)を取り出し、皇后に授けて言いました。
「この匕首を衣の中に隠して、天皇が寝ているときに、首を刺して殺してくれ」
皇后は心の中で恐れ震えて戦慄いて、どうすればいいか分かりませんでした。しかし、兄の志を見ると、簡単に諌めることはできそうにありません。それでその匕首を受け取り、独りで隠し切れそうにもなく、衣の中にしまいました。ついに兄を諌めることはできませんでした。
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