壱岐直の祖先の真根子が武内宿禰の清い心を証明するため自殺

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応神天皇(五)壱岐直の祖先の真根子が武内宿禰の清い心を証明するため自殺

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原文

九年夏四月、遣武內宿禰於筑紫、以監察百姓。時武內宿禰弟、甘美內宿禰、欲廢兄、卽讒言于天皇「武內宿禰、常有望天下之情。今聞、在筑紫而密謀之曰『獨裂筑紫、招三韓令朝於己、遂將有天下。』」於是天皇則遣使、以令殺武內宿禰、時武內宿禰歎之曰「吾元無貳心、以忠事君。今何禍矣、無罪而死耶。」於是、有壹伎直祖眞根子者、其爲人能似武內宿禰之形、獨惜武內宿禰無罪而空死、便語武內宿禰曰「今大臣以忠事君、既無黑心、天下共知。願密避之、參赴于朝、親辨無罪、而後死不晩也。且時人毎云、僕形似大臣。故今我代大臣而死之、以明大臣之丹心。」則伏劒自死焉。
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現代語訳

即位9年夏4月に武内宿禰(タケノウチノスクネ)を筑紫に派遣して百姓(オオミタカラ)を観察させました。そのとき武内宿禰(タケノウチノスクネ)の弟の甘美内宿禰(ウマシウチノスクネ)が兄を陥れようと、天皇に事実と異なる悪口を言いました。
「武内宿禰は常に天下を望む情(ココロ)が有ります。
聞いたところによると、筑紫で密かに計画しているようです。
『独り、筑紫を割いて、三韓国を招いて己に従わせ、ついに天下を得よう』」
それて天皇はすぐに使者を派遣して武内宿禰を殺そうとしました。その時、武内宿禰は嘆いて言いました。
「わたしは、元より弐心(フタココロ=)はありません。忠の心を持って君主(=天皇)に仕えてきた。今、どうしてこんな禍(ワザワイ)も罪も無いというのに死んでしまうのか」
それで壱岐直(イキノアタイ)の祖先の真根子(マネコ)という人がいました。その人となりは武内宿禰に似ていました。独り、武内宿禰が罪も無く、虚しく死んでしまうことを惜しいと思って、武内宿禰の代わりに言いました。
「今、大臣(=武内宿禰)の忠心を君主に仕えています。黒心(キタナキココロ)が無いことは天下に知られています。願わくは密かに去り、朝廷に行き、罪が無いことを弁明して後に死んでも遅くは無いだろう。また、時の人は常に『僕(ヤツカレ=真根子のこと)の姿形は大臣に似ている』と言います。今、私は大臣の代わりに死んで、大臣の丹心(キヨキココロ)を明らかにしましょう」
そう言って、剣に当たって自ら死んでしまいました。
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解説

武内宿禰のピンチ
弟の甘美内宿禰の告げ口というか嘘によって、天皇の使者に殺されそうになりますが、筑紫の真根子という人物が、「武内宿禰の清い心を証明するために、あたしが代わりに死にましょう」と自殺してしまうところまでです。

この物語を「史実」と取ると、武内宿禰が反逆しようとしたがバレた。もしくは物語通りに嘘でハメられそうになった、ということになりますが、なんかちょっとね。

というのも武内宿禰は死んだときに500歳以上の人物であり、存在自体が疑われる「神話っぽい」人間です。だからといって武内宿禰の物語の全てが「作り話」というのも極端です。この武内宿禰という人物が後世に残ったということはそれなりの意味があると考えるべきでしょう。
こういうことじゃないか?
この話のキモは「弟が嘘でハメようとした」ことでも「武内宿禰が天下を狙っていた」ことでも無いです。「武内宿禰」に非常に似た「真根子」という筑紫の人物が、武内宿禰の代わりに自殺したという点です。つまり武内宿禰という人物は信頼される人物であるということ、そして武内宿禰にそっくりな人物が代わりに自殺するという「神秘的」な物語を持つほどの「神性」があるということです。

武内宿禰はおそらく「神」だったのでしょう。武内宿禰を信奉する集団があり、その武内宿禰という神に物語を捧げていった。物語というか、「現実の人物の功績」です。神楽のように神を讃える物語を捧げていった。その集積が「武内宿禰」だったんじゃないかと。「ヤマトタケル」も同じ性質だったんじゃないかと思っています。
姿が似ている
姿が似ているというのは、「同一人物」という意味かもしれません。
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