聖明王と任那の日本府

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欽明天皇(十六)聖明王と任那の日本府

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原文

聖明王更謂任那日本府曰「天皇詔稱『任那若滅汝則無資、任那若興汝則有援。今宜興建任那、使如舊日、以爲汝助、撫養黎民。』謹承詔勅、悚懼塡胸、誓效丹誠、冀隆任那、永事天皇、猶如往日。先慮未然、然後康樂。今日本府、復能依詔救助任那、是爲天皇所必褒讚・汝身所當賞祿。又日本卿等、久住任那之国、近接新羅之境、新羅情狀亦是所知。毒害任那、謨防日本、其來尚矣、匪唯今年。而不敢動者、近羞百濟、遠恐天皇、誘事朝庭、偽和任那。如斯感激任那日本府者、以未禽任那之間、偽示伏從之狀。願今候其間隙、估其不備、一舉兵而取之。天皇詔勅、勸立南加羅・㖨己呑、非但數十年。而新羅一不聽命、亦卿所知。且夫信敬天皇、爲立任那、豈若是乎。恐卿等輙信甘言、輕被謾語、滅任那国、奉辱天皇。卿其戒之、勿爲他欺。」
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現代語訳

聖明王(セイメイオウ)は更に、任那の日本府に語って言いました。
「天皇は詔(ミコトノリ)して言った。
『任那がもし滅ぶならば、お前も資(ヨスガ=頼りにするところ)を無くすだろう。任那がもし再興すれば、お前にも助けを求めるところが出来る。今、任那を再興し再建し、旧日(モト=かつての)ようになり、お前が助けて黎民(オオミタカラ=百姓・国民)を撫でて養育するべきだ』
慎み、詔勅を受けて、かしこまる思いを胸に抱いた。丹誠(アキラケキココロ=真心・誠意)を誓い、願わくば任那を再建させ、長く天皇に仕え、往日(ムカシ)のようにありたい。まず、この未然(ユクサキ)を思慮して、そうして後に安らかにあろうではないか。今、日本府は詔(ミコトノリ)の命ずるままに、任那を救い助ければ、天皇のためにやったと必ず褒め讃えられ、お前たちの身のために賞禄(タマイモノ=褒美)が与えられるだろう。また、日本の卿(マヘツキミ=臣下)たちは久しく任那の国に来て、留まって、新羅との国境に近く接している。新羅の情状(アルカタチ=状況)も、知っている。任那を毒害(ソコナウ)して、日本を防衛しようと謀っている、そういう気配が起きてから久しい。ただ、今年だけの話ではない。それでも敢えて動かないということは、近くは百済にとって恥であるし、遠くは天皇に恐れ多いことだ。新羅は大和朝廷を利を持って誘い、仕えて、嘘をついて任那を懐柔した。任那の日本府をこのように感激(ハゲマス=感情を激化すること)させたのは、未だ任那を取っていない隙に、偽って従う状態を示したからだ。願わくば、今、この間隙をついて、準備ができていないのを見て、兵を挙げて取ろうではないか。天皇の詔勅をもって南加羅・㖨己呑を立てろと勧めたのはこの数十年だけではない。新羅はこの命令を聞き入れずにいるのは、卿(イマシ=臣下)もわかりきったことだ。天皇の命を信じ敬い、任那を立てるがために、どうしてこのようなことをしないというのか。恐れているのは、卿たちが簡単に甘言を信じて、軽々しく謾語(イツワリゴト=嘘)を真に受けて、任那国を滅ぼし、天皇を辱めることだ。卿はそれをつつしみ、他人に欺かれないように!」
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解説

前のページの内容の続き。
当時の百済と日本の間には「新羅は嘘をついてくる」という感覚が非常に強かったと思われます。これは別に欽明天皇に限らずなんですが。これら新羅の嘘って「孫子の兵法」なのかもしれませんね。「兵は詭道なり」を地でいってますから。
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