速古王・貴首王の時代から和親を

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欽明天皇(十五)速古王・貴首王の時代から和親を

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原文

乃謂任那曰「昔我先祖速古王・貴首王、與故旱岐等、始約和親、式爲兄弟。於是、我以汝爲子弟、汝以我爲父兄、共事天皇倶距强敵、安国全家至于今日。言念先祖與舊旱岐和親之詞有如皎日、自茲以降勤修隣好遂敦與国、恩踰骨肉。善始有終、寡人之所恆願。未審、何緣輕用浮辭、數歲之間、慨然失志。古人云、追悔無及、此之謂也。上達雲際、下及泉中、誓神乎今、改咎乎昔。一無隱匿、發露所爲、請誠通靈、深自克責、亦所宜取。蓋聞、爲人後者、貴能負荷先軌、克昌堂構、以成勳業也。故、今追崇先世和親之好、敬順天皇詔勅之詞、拔取新羅所折之国南加羅・㖨己呑等、還屬本貫、遷實任那、永作父兄、恆朝日本。此、寡人之所食不甘味・寢不安席、悔往戒今之所勞想也。夫新羅甘言希誑、天下之所知也。汝等妄信、既墮人權。方今任那境接新羅、宜常設備、豈能弛柝。爰恐、陷罹誣欺網穽、喪国亡家、爲人繋虜。寡人念茲、勞想而不能自安矣。竊聞、任那與新羅運策席際現蜂蛇怪、亦衆所知。且夫妖祥所以戒行、災異所以悟人。當是、明天告戒、先靈之徵表者也。禍至追悔、滅後思興、孰云及矣。今汝遵余、聽天皇勅、可立任那、何患不成。若欲長存本土永御舊民、其謨在茲、可不愼也。」
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現代語訳

任那に語って言いました。
「昔、わたしの先祖の速古王(ソクコオウ)・貴首王(クイシュオウ)と元の旱岐(カンキ=役職名)たちと初めて和親(ニキビムツブルコト)を結んで兄弟となった。わたしはお前を子であり弟とし、お前はわたしを父であり兄であるとした。共に天皇に仕え、ともに強敵を防いだ。国を安らかにし、家を保全して、今日に至っている。先祖の元の旱岐(=役職名)と和親し誓った言葉を思えば、照る太陽の日のように明らかだ。これ以降、勤めて隣国として友好関係を修め、与国(トナリグニ)を厚遇してきた。愛情は骨肉(ヤカラ=仲間・一族)を超えた。始まりは善(ウルハ)しく、終わりもそうであることを、寡人(オノレ=自分を卑下した言い方)は常に願うところだ。未審(イブカシ=ハッキリとしないこと)だが、どうして軽々しく浮辭(ソラゴト=虚言=嘘)を用いて、数年の間に、憂いがあり志が失われた(長く信頼しあってきたが、相手の考えが分からず不安だ)。古い人は言った。
『悔しくて追いかけても、追いつくことは無い』というのはこのことを言うのだろうか。上は雲際(オオゾラ)に到り、下は泉中(シタツクニ=地下の使者の世界には泉があると考えていたから『泉中』)に及ぶまで、神(タマシイ)に今を誓って、昔の咎(トガ=罪)を改めよう。一つの隠しごともなく、為すべきものは発露(アラワス=見せる)しよう。精誠霊(マコトノココロノカミ)と通じて、深く自らを克己し責めることも、また取るべきところだ。跡を継ぐ者は先人の軌跡を負い担い、堂構(オヤノコト=先祖・父の家業を継ぐ)を栄えさせ、勲業(イタワリ=国に尽くす仕事)を成すことを尊ぶ。今、追って先人の世での和親・親好を崇敬して、天皇の詔勅の言葉に従い、新羅がへし折った国の南加羅・㖨己呑などを抜き取り、本貫(モトノクニ)に返し、任那に移して、長く父であり兄となって、ずっと日本に仕えよう。寡人(オノレ)がものを食べても美味くなく、寝ても席(シキイ)を安らかにできない理由だ。昔を悔い、今を戒めて、労わり思うところだ。新羅が甘言(ウマコト=甘い言葉で)で欺こうと企んでいるのは天下の知られるところだ。お前たちは妄信してすでに策略に墜ちている。今、任那の国境は新羅に接していて、常に準備を設けるべきだ。柝(マボリ=夜回りの拍子木)を緩めるなよ。恐ろしいのは。事実を曲げて欺く、網穽(アニアナ=策略)に墜ちて、国を喪失し、家を滅亡させ、人の捕虜となることだ。寡人(オノレ)はこれを思って、痛々しく思って、自然と安心することができなくなった。任那と新羅は策略を巡らす席の際に蜂と蛇の怪異が現れたと密かに聞いた。また衆人の知れるところとなった。その妖祥(ツチノワザワイ)は行動を戒めるためである。災異(アメノワザワイ=天災)を人に悟らせるためである。まさに明らかに天の告戒(ツゲイマシムルコト)で、先霊(サキノミタマ=先祖の霊)が示した徴候だ。禍(ワザワイ)がやってきて、それで後手に回って追いかけても後悔することになり、滅んでから後に再興しようとしても、こういうことになってしまう。今、お前は余(ワレ)に従って、天皇の勅(ミコトノリ)を聴き、任那を立てるべきだ。どうしてそう成し得ないと憂うのか。もし長く本土を保ち、長く旧民(モトノタミ)を治めようと思うのならば、その計画がここにあるのだ。慎んでうけるべきだろう」
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解説

長い。
長いが内容が綺麗すぎる。実際に百済がそういう親書を送ったとか発言したのかは怪しいが、日本と百済の関係はこの時点では良かったよう。
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