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孝徳天皇(三十)紀麻利耆拕臣・巨勢徳禰臣・穗積咋臣に罰を…
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以此觀之、紀麻利耆拕臣・巨勢德禰臣・穗積咋臣、汝等三人之所怠拙也。念斯違詔、豈不勞情。夫爲君臣以牧民者、自率而正、孰敢不直。若君或臣不正心者、當受其罪。追悔何及。是以、凡諸国司、隨過輕重考而罰之。又諸国造、違詔、送財於己国司、遂倶求利、恆懷穢惡。不可不治。念雖若是、始處新宮、將幣諸神、屬乎今歲。又於農月不合使民、緣造新宮固不獲已。深感二途、大赦天下。自今以後、国司郡司、勉之勗之、勿爲放逸。宜遣使者、諸国流人及獄中囚、一皆放捨。別鹽屋鯯魚(鯯魚、此云舉能之慮)・神社福草・朝倉君・椀子連・三河大伴直・蘆尾直四人並闕名、此六人、奉順天皇。朕深讚美厥心。宜罷官司處々屯田及吉備嶋皇祖母處々貸稻、以其屯田班賜群臣及伴造等。又於脱籍寺、入田與山。
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現代語訳
紀麻利耆拕臣(キノマリキタノオミ)・巨勢徳禰臣(コセノトコネノオミ)・穗積咋臣(ホズミノクイノオミ)、お前たち3人は、怠惰であり、拙い。あの詔(ミコトノリ)に違反したことを思えば、どうして心を痛めないでいられようか。君主や臣となって民を養うものは、自らが率先して正しくなければ、誰が正して直すというのか。もし君主や臣の心が正しくなければ、その罪を受けるべきだ。後から、追って後悔してもどうしようもない。すべての諸国の国司はその過(トガ=罪)の軽さや重さに従って、考えて罰を与えよう。また諸国の国造が詔に違反して、財(タカラ)を自分の国司に送り、ついでに自分の利益を求めた。常に穢れた悪を懐に抱いている。しっかりと統治していないなんてあってはいけない。
このように思っているのでっはあるが、新しい宮(=難波宮)に居て、諸々の神に御幣(ミテグラ)を奉ろうと思っていて、それが今年に当たっている。また農(ナリワイ=農作業)の月で民を使うべきではないが、新しい宮を作るために、実にやむをえないことだ。この二つの途(ミチ=新宮を立てたことと農の時期であること)に感(カマケテ=心を取られて)、天下で大赦(オオキニツミユルス=罪を許す)とする。今から以後、国司・郡司は努力して仕事に勤めなさい。放免することないように。使者を派遣して、諸国の流人(ナガシビト=追放された罪人)、および獄の中の囚人、皆、放捨(ユルス)しなさい。
それとは別に塩屋鯯魚(シオヤノコノシロ)…
神社福草(カムコソノサキクサ)・朝倉君(アサクラノキミ)・椀子連(マロコノムラジ)・三河大伴直(ミカワノオオトモノアタイ)・蘆尾直(ススキオノアタイ)…
この6人は天皇に従い奉じた。朕(ワレ)は深く、その心を賛美しよう。官司(ツカサツカサ=役人)の各地の屯田(ミタ=官司の直営の田)、吉備嶋皇祖母(キビノシマノスメミオヤ=皇極天皇と孝徳天皇の母親)の各地の貸稲(イラシノイネ=出挙…稲もみを貸して、収穫期に利息を取る)をやめなさい。その屯田では群臣と伴造たちに、分けて与えなさい。また籍から抜け漏れている寺は、田と山を籍に入れなさい」
このように思っているのでっはあるが、新しい宮(=難波宮)に居て、諸々の神に御幣(ミテグラ)を奉ろうと思っていて、それが今年に当たっている。また農(ナリワイ=農作業)の月で民を使うべきではないが、新しい宮を作るために、実にやむをえないことだ。この二つの途(ミチ=新宮を立てたことと農の時期であること)に感(カマケテ=心を取られて)、天下で大赦(オオキニツミユルス=罪を許す)とする。今から以後、国司・郡司は努力して仕事に勤めなさい。放免することないように。使者を派遣して、諸国の流人(ナガシビト=追放された罪人)、および獄の中の囚人、皆、放捨(ユルス)しなさい。
それとは別に塩屋鯯魚(シオヤノコノシロ)…
鯯魚、は舉能之慮(コノシロ)と言います。
神社福草(カムコソノサキクサ)・朝倉君(アサクラノキミ)・椀子連(マロコノムラジ)・三河大伴直(ミカワノオオトモノアタイ)・蘆尾直(ススキオノアタイ)…
四人は名を漏らしていて分からない。
この6人は天皇に従い奉じた。朕(ワレ)は深く、その心を賛美しよう。官司(ツカサツカサ=役人)の各地の屯田(ミタ=官司の直営の田)、吉備嶋皇祖母(キビノシマノスメミオヤ=皇極天皇と孝徳天皇の母親)の各地の貸稲(イラシノイネ=出挙…稲もみを貸して、収穫期に利息を取る)をやめなさい。その屯田では群臣と伴造たちに、分けて与えなさい。また籍から抜け漏れている寺は、田と山を籍に入れなさい」
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解説
天皇は新しい宮に移ると神々に御幣(ミテグラ)とか幣帛と呼ばれるものを納めました。まぁ、供えものですね。それにこのページの頃は3月で農作業をする忙しい時期ですから、そういうのも重なって、まぁ今回の罪は大目に見てやろうというわけです。おいおい緩いな。
多分、宮ができたことによる「特赦」「恩赦」みたいなことだったんでしょう。それに合わせて過去の罪を許した。大化の改新はこれまでとは政治の運営方法が変わるわけですから、移行時期の猶予措置という政治判断と考えるのが自然でしょうね。
皇極天皇の母親の名前で高利貸しのようなことをやっていたのを禁止しました。これってなかなかスゴイことなんですよね。皇極天皇は前の天皇で、孝徳天皇の同母姉。ということは吉備嶋皇祖母は孝徳天皇の母親でもあるわけです。自分の母親の名前で運営している「稼げる部署」を自分で閉鎖したんだから、なかなかのこと。孝徳天皇はその高利貸しの利益を得ていなかったのかもしれないですが。
また寺が籍から抜けていた。抜けていたということは、税金だって払わないってことです。これをちゃんと籍に入れた。つまり仏教だからって特別扱いしませんよ。ガッチリ税金取ってやるからね!ということです。さてうまくいったんでしょうか。
多分、宮ができたことによる「特赦」「恩赦」みたいなことだったんでしょう。それに合わせて過去の罪を許した。大化の改新はこれまでとは政治の運営方法が変わるわけですから、移行時期の猶予措置という政治判断と考えるのが自然でしょうね。
皇極天皇の母親の名前で高利貸しのようなことをやっていたのを禁止しました。これってなかなかスゴイことなんですよね。皇極天皇は前の天皇で、孝徳天皇の同母姉。ということは吉備嶋皇祖母は孝徳天皇の母親でもあるわけです。自分の母親の名前で運営している「稼げる部署」を自分で閉鎖したんだから、なかなかのこと。孝徳天皇はその高利貸しの利益を得ていなかったのかもしれないですが。
また寺が籍から抜けていた。抜けていたということは、税金だって払わないってことです。これをちゃんと籍に入れた。つまり仏教だからって特別扱いしませんよ。ガッチリ税金取ってやるからね!ということです。さてうまくいったんでしょうか。
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