水溜る依網池

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水溜る依網池

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原文

また御歌に曰りたまはく、

水溜る 依網池(ヨサミノイケ)の 堰杙打ちが さしける知らに 蓴繰り 延へけく知らに 我が心しぞ いや愚にして 今ぞ悔しき

とうたひたまひき。

現代文訳

応神天皇は歌いました。

依網池(ヨサミノイケ)に
水をせき止めるために
杭を打っていたのも知らないで
ヌナハを手繰り寄せる手が
伸びているのも知らないで
私は愚かなことだ
悔しいことだ

と言いました

解説

依網池(ヨサミノイケ)
大阪府堺市池内にあった池。この池に生える水草「ヌナハ」の若葉を摘んで食べるために、杭を打って流れを止めて、さぁ摘もうかとしているのに、何も知らずに邪魔をしてしまった。なんてバカなことをしてしまったんだろうか。という歌。

つまりオオサザキ命とカミナガヒメの邪魔をしたことを言っています。ちなみにヌナハとはジュンサイのこと。ジュンサイはスイレンの仲間で、お吸い物に入っている、茎の周囲にヌルっとしたゼラチン状のものがまとわりつく、アレ。

もちろん応神天皇の歌ではない
カミナガヒメを呼び寄せたのは応神天皇で、それを横恋慕したのはオオサザキ命。のはずが、この歌では応神天皇が横恋慕したかのような内容に。

この歌は池のあった依網(つまり大阪府堺市)の民謡だった、のではないかと考えられています。
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