八千矛神のラブソング

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ヤチホコのラブソング?

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原文

八千矛の 神の命は 八島国 妻枕きかねて 遠遠し 高志の国に 賢し女を 有りと聞かして 麗し女を 有りと聞こして さ婚ひに あり立たし 婚ひに あり通はせ 大刀が緒も いまだ解かずて 襲をも いまだ解かねば 嬢子の 寝すや板戸を 押そぶらひ 我が立たせれば 引こづらひ 我が立たせれば 青山に ぬえは鳴きぬ さ野つ鳥 雉はとよむ 庭つ鳥 鶏は鳴く 心痛くも 鳴くなる鳥か この鳥も 打ち止めこせね いしたふや 天馳使 事の 語言も 是をば

現代語訳

八千矛神(ヤチホコ神)は八島(=日本)で好ましい妻を娶ることができませんでしたので、ついに遠い遠い越国の賢い女性が居ると聞いて、美しい女性が居ると聞いて、結婚しようと出発し、何度もプロポーズしに通いました。

太刀の緒も解かず、襲(コートみたいなもの)を脱がず、少女が寝ている家の戸を揺さぶっていると、山のヌエ(鳥の一種)が鳴きました。野のキジが鳴きました。庭のニワトリが鳴きました。

「鳴き声がイライラする!
この泣き声を、あの鳥どもを打って静かにしてくれ!
天の使いよ!」
――これを語りごととしてお伝えします。
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解説

へ、変質者だ!
正妻と側室がありながら、もっと賢くて綺麗な女が欲しいと、あちこち探し回って越国にやってきたオオクニヌシ。もう辛抱溜まらんとヌナカワヒメの家の戸を揺らします。するとヌエやキジやニワトリが鳴き始めます。ヌエが鳴くのは夜、ニワトリが鳴くのは夜明けと相場が決まっています。まだ暗い時間に少女の家を訪問して戸を揺らしているのです。完全な変質者。キジは音に目を覚まして鳴いたのでしょうね。その鳥達の声に「うるせい! 殺すぞ!」とわめくオオクニヌシ。もう、嫁も子供も居るいい年齢でしょうに。どうしてこんな大人になってしまったのか。八十神にいじめられ、スサノオの試練の日々で、性格が歪んでしまったのでしょうか。

歌といっても歌っているのはヤチホコ神ではない
この歌の冒頭で、「ヤチホコは」と言っているように、この歌の語り口はヤチホコではなく第三者です。つまり語り手が「ヤチホコはね」と、読者というか聞き手に話しかけているのです。ところが、途中の「我が立たせれば~」のあたりから、視点が「ヤチホコ」に移動しています。これは小説でもよくあることですが、このような短い文章内で視点が移動したら、怒られます。
それが成立するのはこの「歌」がミュージカルのような神楽の歌としての存在だからではないかと思います。
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