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ヨモツシコメ
漢字・読み | 泉津醜女・予母都志許売 |
別名 | 黄泉醜女 |
概要
物語・由来
ヨモツシコメは黄泉の国に住む神。
イザナミがカグツチを出産し死んでしまうと、死んだイザナミが忘れられないイザナギは、イザナミを追いかけて死者の国である黄泉の国へと迎えに行きます。しかし、イザナミの体はすでに腐り、蘇生することはできない状態でした。それどころか、約束を破り、イザナミの体が腐っていているところを覗き見たイザナギを捕まえようとしました。その捕まえるために放った刺客というか追っ手が「ヨモツシコメ」です。
意味
ヨモとは「黄泉」のことです。「ツ」は助詞の「の」と同じ。よってヨモツシコメというのは「死者の国である黄泉の国のシコメ」という意味です。ではシコメってのは何かというと、醜い女、という意味ではなく、「霊力の強い女」という意味です。しかし、そこに「醜い」という漢字が当てられているのには、意味があると思われます。おそらく古代の人は「醜い」とは「霊力のあるもの」というイメージがあったのでしょう。
これは山の神・山姥(ヤマンバ)といった日本の「女神像」の共通点のようです。山の神はブサイクで女を忌み嫌い、呪い殺します。その一方で山の神は里に作物をもたらす豊穣の女神でもあります。ヤマンバも口は耳まで裂け、山に入った人間を食い殺します。その一方でヤマンバは多産の象徴とされ敬われもします。醜いものは霊力があり、畏れ敬うものというのがステレオタイプだったのでしょう。
山葡萄とタケノコ
ヨモツシコメがイザナギを追いかける中で、山葡萄とタケノコが出ます。山葡萄は食料にもなりますが、籠を編む材料です。タケノコも同様です。これはこの二つが生活に根ざした重要な植物だったからでしょう。それが、どうして黄泉の国でイザナギを助けるのか。理由の一つは「人間にとって役に立つ植物だから」なのですが、もう一つ大きな理由があったのだと思います。
それはヨモツシコメが地母神だったからでしょう。
日本人は里に穀物が生えるのは「神がやってくるから」と考えていました。では神はどこからやってくるのか? 神の国からです。神の国には神だけではなく死者も住んでいます。その神の国とされる場所は常世の国だったり、海神宮殿だったり、山の向こうだったり、島だったり、するのですが、候補の一つが「黄泉の国」だった。
つまり、黄泉の国は死者の国というだけでなく、農業と関わりのある場所でもあった。また、山葡萄とタケノコが急成長した理由は、「イザナギの霊力」とすることもできますが、黄泉の国がそもそも穀物神のいる場所という性質だったからと説明できます。
シコオ
シコメの男版が「シコオ」です。これは大国主の異名の一つである「アシハラシコオ」に見られます。「シコ」というのは醜いという意味ではなく、本来は「霊力が強い」という意味合いだと考えるべきでしょう。ただし、醜くないという意味ではないです。醜いのは後から付随した要素で、本来は「霊力が強い」という意味ですよってことです。
黄泉醜女
日本書紀にも古事記にも「黄泉醜女」という記述はないです。まぁ、ヨモツシコメという音はどう考えても黄泉醜女ですから問題は全然ないのですけど。
イザナミがカグツチを出産し死んでしまうと、死んだイザナミが忘れられないイザナギは、イザナミを追いかけて死者の国である黄泉の国へと迎えに行きます。しかし、イザナミの体はすでに腐り、蘇生することはできない状態でした。それどころか、約束を破り、イザナミの体が腐っていているところを覗き見たイザナギを捕まえようとしました。その捕まえるために放った刺客というか追っ手が「ヨモツシコメ」です。
意味
ヨモとは「黄泉」のことです。「ツ」は助詞の「の」と同じ。よってヨモツシコメというのは「死者の国である黄泉の国のシコメ」という意味です。ではシコメってのは何かというと、醜い女、という意味ではなく、「霊力の強い女」という意味です。しかし、そこに「醜い」という漢字が当てられているのには、意味があると思われます。おそらく古代の人は「醜い」とは「霊力のあるもの」というイメージがあったのでしょう。
これは山の神・山姥(ヤマンバ)といった日本の「女神像」の共通点のようです。山の神はブサイクで女を忌み嫌い、呪い殺します。その一方で山の神は里に作物をもたらす豊穣の女神でもあります。ヤマンバも口は耳まで裂け、山に入った人間を食い殺します。その一方でヤマンバは多産の象徴とされ敬われもします。醜いものは霊力があり、畏れ敬うものというのがステレオタイプだったのでしょう。
山葡萄とタケノコ
ヨモツシコメがイザナギを追いかける中で、山葡萄とタケノコが出ます。山葡萄は食料にもなりますが、籠を編む材料です。タケノコも同様です。これはこの二つが生活に根ざした重要な植物だったからでしょう。それが、どうして黄泉の国でイザナギを助けるのか。理由の一つは「人間にとって役に立つ植物だから」なのですが、もう一つ大きな理由があったのだと思います。
それはヨモツシコメが地母神だったからでしょう。
日本人は里に穀物が生えるのは「神がやってくるから」と考えていました。では神はどこからやってくるのか? 神の国からです。神の国には神だけではなく死者も住んでいます。その神の国とされる場所は常世の国だったり、海神宮殿だったり、山の向こうだったり、島だったり、するのですが、候補の一つが「黄泉の国」だった。
つまり、黄泉の国は死者の国というだけでなく、農業と関わりのある場所でもあった。また、山葡萄とタケノコが急成長した理由は、「イザナギの霊力」とすることもできますが、黄泉の国がそもそも穀物神のいる場所という性質だったからと説明できます。
シコオ
シコメの男版が「シコオ」です。これは大国主の異名の一つである「アシハラシコオ」に見られます。「シコ」というのは醜いという意味ではなく、本来は「霊力が強い」という意味合いだと考えるべきでしょう。ただし、醜くないという意味ではないです。醜いのは後から付随した要素で、本来は「霊力が強い」という意味ですよってことです。
黄泉醜女
日本書紀にも古事記にも「黄泉醜女」という記述はないです。まぁ、ヨモツシコメという音はどう考えても黄泉醜女ですから問題は全然ないのですけど。
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引用
逃げろ!
第五段一書(六)-2黄泉の国
イザナギは変わり果てたイザナミの姿を見て、逃げ帰りました。
するとイザナミが
「私に恥をかかせましたね!」
と言って、すぐにヨモツシコメ(黄泉の醜女=死者の国の強い女)を呼んでイザナギを追わせました。
イザナギは髪につけていた黒いカズラ(蔓=ツル植物)を取って投げるとみるみる成長して山ブドウが成りました。この山ブドウの実をシコメ(醜女)が食べている間にイザナギは逃げ延びました。
しかし更にシコメ(醜女)が追ってきたので、今度は右のミズラ(角髪)に挿していた櫛の歯を折って投げるとタケノコが生えてきました。それをシコメ(醜女)が食べている間にイザナギは逃げ延びました。
するとイザナミが
「私に恥をかかせましたね!」
と言って、すぐにヨモツシコメ(黄泉の醜女=死者の国の強い女)を呼んでイザナギを追わせました。
イザナギは髪につけていた黒いカズラ(蔓=ツル植物)を取って投げるとみるみる成長して山ブドウが成りました。この山ブドウの実をシコメ(醜女)が食べている間にイザナギは逃げ延びました。
しかし更にシコメ(醜女)が追ってきたので、今度は右のミズラ(角髪)に挿していた櫛の歯を折って投げるとタケノコが生えてきました。それをシコメ(醜女)が食べている間にイザナギは逃げ延びました。
第五段一書(六)-2黄泉の国
イザナギは驚きました。
「私は何も知らないうちに、とんでもなく嫌な、汚らわしいところに来てしまっていた!!」
と言うと大急ぎで走り去りました。
それを聞いたイザナミはイザナギを恨みました。
「どうして、あなたはわたしに恥をかかせるのですか!!!」
と言うと、イザナミは泉津醜女(ヨモツシコメ)を8人さし向けました。
イザナギは追ってくるヨモツシコメに気づいて、剣を抜き、振って逃げました。
イザナギが黒いカツラ(髪留めのこと)を投げると、それが野葡萄の実になりました。ヨモツシコメたちはそれを摘んで食べました。食べ終わると更に追いかけました。
イザナギが湯津爪櫛(ユツツメクシ)を投げると、これがタケノコになりました。ヨモツシコメはタケノコを引き抜いて食べました。食べ終わると更に追いかけました。
「私は何も知らないうちに、とんでもなく嫌な、汚らわしいところに来てしまっていた!!」
と言うと大急ぎで走り去りました。
それを聞いたイザナミはイザナギを恨みました。
「どうして、あなたはわたしに恥をかかせるのですか!!!」
と言うと、イザナミは泉津醜女(ヨモツシコメ)を8人さし向けました。
イザナギは追ってくるヨモツシコメに気づいて、剣を抜き、振って逃げました。
イザナギが黒いカツラ(髪留めのこと)を投げると、それが野葡萄の実になりました。ヨモツシコメたちはそれを摘んで食べました。食べ終わると更に追いかけました。
イザナギが湯津爪櫛(ユツツメクシ)を投げると、これがタケノコになりました。ヨモツシコメはタケノコを引き抜いて食べました。食べ終わると更に追いかけました。
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