天武天皇(五十一)下野国は凶作で子を売る・南淵山と細川山を禁足地に

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天武天皇(五十一)下野国は凶作で子を売る・南淵山と細川山を禁足地に

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原文

五月戊辰朔庚午、宣進調過期限国司等之犯狀、云々。甲戌、下野国司奏、所部百姓遇凶年、飢之欲賣子。而朝不聽矣。是月、勅「禁南淵山・細川山、並莫蒭薪。又畿內山野、元所禁之限、莫妄燒折。」

現代語訳

(即位5年)5月3日。調(ミツキ=税)を献上する期限を過ぎた国司(クニノミコトモチ)たちが犯した罪状を述べました。云々。
5月7日。下野国司(シモノツケノノクニノミコトモチ)は申し上げました。
「所部(クニノウチ)の百姓は凶作の年ですから、飢えて子を売ろうとしています」
それで朝廷は聞き入れず、許しませんでした。

この月に勅(ミコトノリ)をしました。
「南淵山(ミナブチヤマ=奈良県高市郡明日香村稲淵)・細川山(ホソカワヤマ=奈良県高市郡明日香村細川)を禁足地として、蒭薪(クサカリキコル=草を刈ったり、木こりをして薪を取ること)をしてはいけない。また、畿内(ウチツクニ)の山野(ヤマノ)の元からの禁足地の場所は、みだりに焼いたり、折ってはいけない」
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解説

冷たい天武天皇
凶作なんだから、許してもいいのに。

儒教では道徳が大事です。だからこういう「困った人」というのは見過ごせません。子供を売らなくちゃ生きていけないような状態の人から「税を取り立てる」なんてのは、不道徳だと言われるかもしれない。

ちなみに韓国は儒教の国です。すると韓国では生活が立ち行かないで犯罪をした人を、恩赦で許したり、借金を抱えている人の借金を国が棒引きにする「徳政令」を乱発したりしてしまいます。これはとても「道徳的で、儒教的な政策」な訳です。

しかし、これを進めていくと、間違いなくモラルハザードを起こします。真面目にやっている人が馬鹿みたいです。だから天武天皇は許さなかった。これは儒教的な考えて見れば「冷たい」な、となるのですが、継続的に政治を運営していくのには正しい判断と言えます。
禁足地
朝廷は畿内に、天皇や身内だけが入ることができる土地を持っていたようです。
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