天武天皇(六十二)筑紫太宰の赤烏の献上

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天武天皇(六十二)筑紫太宰の赤烏の献上

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原文

冬十月庚寅朔癸卯、內小錦上河邊臣百枝爲民部卿、內大錦下丹比公麻呂爲攝津職大夫。十一月己未朔、雨、不告朔。筑紫大宰獻赤鳥。則大宰府諸司人賜祿各有差、且專捕赤鳥者賜爵五級、乃當郡々司等加増爵位、因給復郡內百姓以一年之。是日、大赦天下。己卯、新嘗。辛巳、百寮諸有位人等賜食。乙酉、侍奉新嘗神官及国司等賜祿。十二月己丑朔、雪、不告朔。

現代語訳

(即位6年)冬10月14日。内小錦上の河辺臣百枝(カワヘノオミモモエ)を民部卿(カキベノカミ=民部省の長官=諸国の徴税関係の仕事)としました。内大錦下の丹比公麻呂(タジヒノキミマロ)を摂津職大夫(ツノツカサノカミ=摂津職の長官=難波を管理する仕事)としました。
11月1日。雨が降って、告朔(ツイタチマウシ=月初の儀式)をしませんでした。筑紫太宰が赤い烏(カラス)を献上しました。太宰府の諸々の司(ツカサ=役人)の人に、禄(ロク)を与え、それぞれに品がありました。また、赤い烏を捕らえた者に爵位5級を与えました。その郡の郡司(コオリノミヤツコ)たちに爵位を増加しました。郡内の百姓に1年、税を免除しました。この日に天下に大赦(オオキニツミユルス)しました。
11月21日。新嘗(ニイナエキコシメス)しました。
11月23日。百寮(ツカサツカサ=役人)の諸々の位のある人たちに食を与えました。
11月27日。新嘗に仕えた神官と、国司たちに禄を与えました。
12月1日。雪が降ったので告朔(ツイタチマウシ)をしませんでした。
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解説

日本では伝統的に「白い動物」を「吉兆」としてきました。しかし、壬申の乱で大海人皇子の兵士は「赤いもの」を身につけて、それを味方の目印にしていました。おそらく、これが「勝利の理由」の一つじゃないかと思います。だから天武天皇としては「赤」が縁起がいい。

それが「赤い烏」を献上したからって、爵位をバンバン出して、その地域の税を免除するなど、異常なほどの大盤振る舞いになったのでしょう。
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