水の神の策略による貧困

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水の神の策略による貧困

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原文

然して其の兄、高田を作らば、汝命は下田を営りたまへ。其の兄、下田を作らば、汝命は高田を営りたまへ。然為たまはば、吾水を掌れる故に、三年の間、必ず其の兄貧窮しくあらむ。

現代語訳

(海神のセリフの続き)
「その兄が高いところに田を作れば、あなたは低い土地に田を作りなさい。その兄が低い土地に田を作ったら、あなたは高い土地に田を作りなさい。
そうすればわたし(=海神)は水を操れますから、三年後には兄(ホデリ命)は(水不足による)凶作になり、貧しくなって苦しむでしょう」

解説

ワダツミは水の神
高いところとか、低いところというのは、単に兄と離れたところに田んぼを作りなさいというお話で、特に意味は無いかと思われます。
ところで、山幸彦(猟師)とか海幸彦(漁師)というテーマなのに、結局、貧しいとか豊かの尺度は「水田」由来なのですね。古代の日本が水田を生活基盤としながらも、山や海の幸を得て、かなり豊かな食生活を送っていたのではないかと推測します。

水田にとって『水』の意味
日本人にとって水田はあまりに「当たり前」ですが、実はすごいことなのです。水田に絶対不可欠なものが「水」です。綺麗で大量な水が、稲から発生する「連作障害を起こす物質」を洗い流しているのです。だから水田は連作を可能にし、従来のような焼き畑農業のように定期移動が必要ではなく、定住を可能にしました。水田は農業革命です。水田こそが限られた地域に人が生活するために必要な技術です。それは「富」の概念の発生であり、階級の発生でもあります。そして都市が発展したわけです。

その水は山から川となって里に流れてきます。

水の神であるワダツミと、コノハナサクヤヒメの父である山神オオヤマヅミアマテラスの子孫と結ばれる意味は、結局のところ「水田」のためです。
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