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御子の為に答へて歌ひて曰はく
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かく歌ひて大御酒を献りき。ここに建内宿禰命(タケシウチノスクネノミコト)、御子の為に答へて歌ひて曰はく、
この御酒を 醸(カ)みけむ人は その鼓 臼に立てて 歌ひつつ 醸みけれかも 舞ひつつ 醸みけれかも この御酒の 御酒の あやに うた楽し ささ
こは酒楽(サカクラ)の歌なり。
この御酒を 醸(カ)みけむ人は その鼓 臼に立てて 歌ひつつ 醸みけれかも 舞ひつつ 醸みけれかも この御酒の 御酒の あやに うた楽し ささ
こは酒楽(サカクラ)の歌なり。
現代文訳
そう歌って、ホンダワケ皇子に酒を捧げました。
建内宿禰が代わって歌いました。
この酒を醸した人は
鼓を臼のように立てて、
歌って醸したのか
踊って醸したのか
この酒は、酒は
なんと楽しい酒か! さぁ!
これは酒楽の歌です。
建内宿禰が代わって歌いました。
この酒を醸した人は
鼓を臼のように立てて、
歌って醸したのか
踊って醸したのか
この酒は、酒は
なんと楽しい酒か! さぁ!
これは酒楽の歌です。
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解説
建内宿禰は歌う
皇后と建内宿禰の仲のよさ。二人はセットのよう。まるでアマテラスとタカミムスビのよう。
二人が歌いあうこの歌はどうやら古代からあったよう。スクナヒコナという出雲の神を歌っているからです。
ちなみに「酒」を「クス」と呼ぶのは、「薬(クスリ)」という意味もありますし、「奇す」という意味もあります。酒を飲んだら酔っ払うからじゃないでしょうか? 確かに「物の怪」にでも取り付かれたようになりますものね。
しかし、酒の歌があり、それが歌い継がれていたとしたら、日本の古代というのは、結構、豊かに思えませんか?
皇后と建内宿禰の仲のよさ。二人はセットのよう。まるでアマテラスとタカミムスビのよう。
二人が歌いあうこの歌はどうやら古代からあったよう。スクナヒコナという出雲の神を歌っているからです。
ちなみに「酒」を「クス」と呼ぶのは、「薬(クスリ)」という意味もありますし、「奇す」という意味もあります。酒を飲んだら酔っ払うからじゃないでしょうか? 確かに「物の怪」にでも取り付かれたようになりますものね。
しかし、酒の歌があり、それが歌い継がれていたとしたら、日本の古代というのは、結構、豊かに思えませんか?
個人的コラム
女王とサポートする男
よくアマテラスとタカミムスビが古事記や日本書紀で登場するのを「持統天皇と藤原不比等」という古事記成立時の権力者を取り入れたもの――その後の藤原家の血筋を受けた天皇を認めるための「設定」とする意見は多いです。
しかし、神功皇后と建内宿禰のように、「女王とサポートする男」という「統治の理想形」が古代の日本にあったんじゃないか? とも思います。
その統治の理想形の根元に「卑弥呼と弟」があった、とまでは言いません。それは飛躍です。ですが「巫女と神官」というのが古代の「首長」のあり方だったんではないか? というなら納得できませんか??
その「巫女と神官」という組み合わせがこの「神功皇后と建内宿禰」に反映されていると思います。
よくアマテラスとタカミムスビが古事記や日本書紀で登場するのを「持統天皇と藤原不比等」という古事記成立時の権力者を取り入れたもの――その後の藤原家の血筋を受けた天皇を認めるための「設定」とする意見は多いです。
しかし、神功皇后と建内宿禰のように、「女王とサポートする男」という「統治の理想形」が古代の日本にあったんじゃないか? とも思います。
その統治の理想形の根元に「卑弥呼と弟」があった、とまでは言いません。それは飛躍です。ですが「巫女と神官」というのが古代の「首長」のあり方だったんではないか? というなら納得できませんか??
その「巫女と神官」という組み合わせがこの「神功皇后と建内宿禰」に反映されていると思います。
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