伯耆国の手間の山

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伯耆国の手間の山

漢字・読みハウキノクニノテマノヤマ
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原文

故爾に八十神怒りて、大穴牟遅神を殺さむと共に議りて、伯伎国の手間の山本に至りて云ひけらく、「赤き猪此の山に在り。故、和礼共に追ひ下しなば、汝待ち取れ。若し待ち取らずば、必ず汝を殺さむ。」と云ひて、火を以ちて猪に似たる大石を焼きて、転ばし落しき。爾に追ひ下すを取る時、即ち其の石に焼き著かえて死にき。

現代語訳

八十神の兄弟神は怒って、大穴牟遅神(オオナムチ神)を殺そうと思い、相談して伯耆国の手間の山の麓(フモト)にやって来て言いました。

「赤い猪(イノシシ)がこの山に居る。
我々(兄弟神)が追って下へと降りたら
お前は待ち伏せして捕らえろ。
もし待ち伏せして捕まえないなら
必ずお前(オオナムチ)を殺す」

兄弟神達はイノシシに似た大きな石に火をつけて、転ばして、オオナムチ神に向かって転がし落としました。

オオナムチは落ちてきた焼けた石に巻き込まれて死んでしまいました。
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解説

半端じゃないです
嫉妬から、ヤキモチなんて甘いものじゃなく、火をつけた石を山の上から転がしてオオナムチを殺してしまいます。残酷。
しかしイノシシを捕らえろ、捕らえないと殺すぞ、と言う辺り、もう策略という範疇を越えて、普通に殺し合いをしても変わらないんじゃないかと思います。
古代の狩猟の風景
山で動物を追い立てて、待ち受けて、これを捕らえるというのが古代の狩猟方法のようです。古事記の出雲編ではここまで、ほとんどが農業に関するものでした。農業、特に稲作だけでなく、当然ながら狩猟も生活の中にあったわけです。
伯伎国
伯伎国はイザナミが死んだときに葬った場所――比婆山が出雲と伯伎国の境です。具体的には鳥取県中部から西部。
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