稲城

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稲城

投稿日時:2017-06-29 15:49:22
漢字・読みイナキ
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稲城

稲城は稲を積んで作った城のこと。
それが戦争で役に立つものなのかは疑問。
古事記で稲城が登場するのは垂仁天皇の時にサホビメ・サホビコが反乱を起こした時のみ。日本書紀では
●垂仁天皇(11代)の時のサホビメ・サホビコの反乱。
●雄略天皇(21代)の時の根使主。安康天皇がのちの雄略天皇の妃に大草香皇子の妹の草香幡梭姫を娶らせようとしたが、その時、根使主は使者として大草香皇子から祝いの品「押木珠縵(オシキノタマカズラ)」を受け取りますが、これを盗むために「大草香皇子が断った」と讒言したために大草香皇子は殺された。雄略天皇の即位後、根使主は押木珠縵を身につけいているのを草香幡梭姫に見られ、全てが露見して根使主は攻めら、根使主は稲城を築いて抵抗したが殺された。
●崇峻天皇(32代)の時、蘇我氏に攻められた物部守屋が築いた。
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稲城の物語の意味

稲城は稲を積み上げた城のこと。そんな燃えやすいものを積み上げて防御の意味があるのかと。で、上にあげた稲城が登場するケースの全てで「稲城を築いた方が負け」ている。稲城は敗北したものの象徴だったのかもしれない。もしくは農業の儀式ではないかと思う。死んで異世界に帰る農業神の物語だったのではないかと。

ただ、物部守屋の時代は新しい時代ですから伝承が神話化しているとは考えにくい。もともと神話があって、それを事件に当てはめたと考えた方が自然じゃないかと思います。垂仁天皇・雄略天皇の稲城と、崇峻天皇の稲城は言葉は同じでも別のものかもしれない。
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古事記からの引用

垂仁天皇の沙本毘古王討伐
サホビコ王は稲を束ねて壁を作り、垂仁天皇の軍勢を待ち構えていました。サホビメは兄を想い、宮の裏門から抜け出して兄の稲で出来た城に入ってしまいました。そのときサホビメは妊娠していました。
垂仁天応はサホビメが妊娠していることと、三年もの間に育んだ愛情ゆえに思い悩み、サホビコの稲城を攻めきれず、周囲を囲むばかりで、膠着しました。

垂仁天皇のサホビメ奪還作戦
子供が生まれたサホビメは、その子供を稲城の外に置いて、垂仁天皇に言いました。
「もし、この赤ん坊を垂仁天皇の子供だと思われるならば、引き取って育ててください」
すると垂仁天皇は
「兄であるサホビコは恨んでいるが、后であるあなたは愛しく、失いたくない」と言いました。

本牟智和気御子の養育方法
「子供の名前は母親が名づけるものだ。
何と名前をつけるとよいだろう」
するとサホビメが答えました。
「今、火(ホムラ)のついた稲城を焼いているときに生まれました。だから、本牟智和気御子(ホムチワケノミコ)と名付けてください」
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日本書紀からの引用

垂仁天皇(九)倭日向武日向彦八綱田
狹穗彦は師(イクサ=軍)を起こして、迎え撃ちました。たちまち稲を積み上げて城を作りました。それが固くて破れません。これを稲城(イナキ)といいます。
翌月になっても従いません。
皇后は悲しんで言いました。
「わたしは皇后といっても、兄王を失っては面目(オモテ)がありません。世間に顔向けできません」
そして王子の譽津別命(ホムツワケノミコト)を抱いて、兄王の稲城に入りました。天皇はさらに軍衆(イクサビトドモ)を増やして、完全にその城を囲んでしまいました。そして城の中に向かって言いました。
「すみやかに皇后と皇子を出せ」

雄略天皇(四十八)根使主の子孫を皇后と茅渟県主と難波吉士日香々に与える
「根使主は今より以後、子々孫々八十聯綿(ウミノコノヤソツヅキ=聯は「連」と同義)に群臣(マヘツノクミタチ)の例(ツラ)に預けてはいけない」
それで斬り殺そうとしました。根使主は逃げ隠れて、日根(ヒネ=和泉国日根郡)に至って、稲城(イナキ=稲で作った城)を作って待ち戦いました。ついに官軍に殺されました。

崇峻天皇(四)渋河での守屋と馬子の戦い
軍兵を率いて、志紀郡(シキノコオリ=河内国の郡名)から渋河(シブカワ=河内国渋川郡=現在の大阪府布施市の物部守屋の家)の家に到着しました。大連(=物部守屋)は、自ら子弟(ヤカラ)と奴隷軍とを率いて、稲城(イナキ)を築いて戦いました。大連は衣摺(キヌスリ=河内国渋川郡の地名=現在の大阪府布施市衣摺)の朴(エノキ=ホオの木)の枝の股に登って、見下ろし見て射ち、雨のようでした。その軍は強く、勢いづいていて、家に満ち、野にあふれていました。皇子たちの軍と群臣の衆(イクサ=兵)は怯えていて弱く、恐怖に駆られて、三度退きました。
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