天皇の寿命は儚く

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天皇の寿命は儚く

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原文

爾に大山津見神、石長比売を返したまひしに因りて、大く恥ぢて、白し送りて言ひけらく、「我が女二たり並べて立奉りし由は、石長比売を使はさば、天つ神の御子の命は、雪零り風吹くとも、恒に石の如くに、常はに堅はに動かず坐さむ。亦木花佐久夜毘売を使はさば、木の花の栄ゆるが如栄え坐さむと宇気比弖貢進りき。此くて石長比売を返さしめて、独木花佐久夜毘売を留めたまひき。故、天つ神の御子の御寿は、木の花の阿摩比能微坐さむ。」といひき。故、是を以ちて今に至るまで、天皇命等の御命長くまさざるなり。
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現代語訳

大山津見神(オオヤマヅミ神)はニニギが姉の石長比売(イワナガヒメ)を返したので、とても恥に思い、返事を送り言いました。

「わたしが娘を二人並べて送ったのは、
石長比売(イワナガヒメ)が仕えれば
天津神の皇子(=ニニギ)の命は
雪が降り風が吹いても、岩のように永遠に固く動かず変わらないものになるでしょう。

木花佐久夜毘売(コノハナサクヤヒメ)が仕えれば
木の花が咲くように繁栄するでしょう――

そう誓約をしたのです。

しかしこのように石長比売(イワナガヒメ)を送り返し
木花佐久夜毘売(コノハナサクヤヒメ)を留めたことで
天津神の皇子(ニニギ)の寿命は
木の花のように儚いものとなるでしょう」
と言いました。

これ以降、天皇の寿命は長くは無くなってしまいました。
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解説

オオヤマヅミの呪いか
姉イワナガヒメを拒絶され、残念がるオオヤマヅミ。それには深い深い理由があったのです。美しい妹は繁栄するが寿命は儚く。ブサイクな姉は見た目がアレでも頑健で永久に。二人がそろってこそ、天皇家の未来は明るいものだったのに……という愚痴っぽいお話。
●大山津見神は「大いに恥じ」て、「言葉を送り返した」とあり、木花佐久夜毘売・石長比売が繁栄と寿命を表すように「誓約」をしているのですから、ニニギの選択ミスという意味よりは呪いのニュアンスが大きいと思われます。

バナナ型神話
さて、この「AかBか、Aを選んだから寿命が生まれた」という物語は「バナナ型神話」というものです。東南アジアには、神から「バナナと石とどっちか選べ」と言われてバナナを選んだために人類に「寿命」ができた、という神話があります。このオオヤマヅミの神話はバナナ型神話の影響かもしれません。ただし、少々文化が違っても同じ人間ですから、「寿命」に関する物語は自然と、こういったスタイルになるもの――という考え方もあります。
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