第六段本文-2 海は荒れ、山が泣く

MENU
TOP>日本書紀神代上>第六段本文-2 海は荒れ、山が泣く
スポンサードリンク

第六段本文-2 海は荒れ、山が泣く

TWEET Facebook はてブ Google+ Pocket

原文

第六段本文-2
始、素戔鳴尊昇天之時、溟渤以之鼓盪、山岳爲之鳴呴、此則神性雄健使之然也。天照大神、素知其神暴惡、至聞來詣之狀、乃勃然而驚曰「吾弟之來、豈以善意乎。謂當有奪国之志歟。夫父母既任諸子各有其境、如何棄置當就之国而敢窺窬此處乎」乃結髮爲髻、縛裳爲袴、便以八坂瓊之五百箇御統(御統、此云美須磨屢)纒其髻鬘及腕、又背負千箭之靫(千箭、此云知能梨)與五百箭之靫、臂著稜威之高鞆(稜威、此云伊都)振起弓彇、急握劒柄、蹈堅庭而陷股、若沫雪以蹴散(蹴散、此云倶穢簸邏邏箇須)、奮稜威之雄誥(雄誥、此云鳥多稽眉)、發稜威之嘖讓(嘖讓、此云舉廬毗)、而俓詰問焉。
スポンサードリンク

現代語訳

第六段本文-2
スサノオが天に昇ろうとした時です。
海は轟いて揺れ、山は鳴り響きました。
これはスサノオという神の素質があまりに粗暴だったからです。

アマテラスは弟スサノオが粗暴であると知っていたので、天に昇ってくる様子を聞いて、驚きました。

「わたしの弟(=スサノオ)が来る!!
善良な心によって天に上がってくるはずがない!
きっと私の国(=高天原)を奪おうとしているに違いない!!

父母(=イザナギイザナミ)が子供たち(=アマテラスツキヨミ・スサノオ)それぞれに治める場所を分けたというのに、どうして治めるべき自分の国を捨ててまで、高天原を奪おうとするのか!!」

アマテラスは髪を解いて、男のように角髪(髻=ミズラ)に結い、腰にまとっていた裳を、やはり男のように袴(ハカマ)にしました。また、大きな勾玉を500個も紐で連ねてまとめた御統(ミスマル)を頭(ミズラとカツラ)や腕に巻きつけ、背中には1000本の矢が入る靭(=矢立て、矢を入れる筒)と500本の矢が入る靭を背負い、肩から肘・手首までを守る稜威之高鞆(イズノタカトモ)を身につけ、弓の上弭(ウワハズ)を振り起こし、太刀の柄を握り締め、固い地面を腿まで沈むほど踏みしめ、その土を蹴りあげて泡雪のように撒き散らし、雄たけびを上げ、スサノオを責め、問い詰めました。
古事記の対応箇所
須佐之男を迎え撃つアマテラス
スポンサードリンク

解説

稜威は神聖な?
稜威は神聖なとか勢いがあるという意味です。日本人には「神聖」なものとは「人外ではない強い力」というニュアンスで、「正義」か「悪」か? というものさしとはちょっと違う。

ウワハズ
ウワハズは弓の上部のこと。詳細は以下のリンクの図解からどうぞ。

個人的コラム

アマテラスは男か?
アマテラスが髪も服も男のようにして、弓と剣を身につけ、足が埋まるほどに四股を踏む…ということは確かに男っぽい。
太陽神は大抵男であることを考えると神話の原型は「男」で、アマテラス信仰が始まった7世紀に入れ替わったという可能性も十分ある。

ただ、日本の古代では女性を首長とした豪族も多い。古事記・日本書紀には系譜が出ていますが、中に母親の名前しか書かれていない系譜もある。これは女系だったため。女系集団では女性が娘に権力を譲る。だから母親の名前しかない。そういった女系の集団では女性は強い(と思う)。もしくは女性は霊力があるとされたのかもしれない。ともかく、女性は強かったので、アマテラスのこういった表現に繋がったのかも。あくまで推測です。
Pre<<<  >>>Next 
スポンサードリンク

SNSボタン

TWEET Facebook はてブ Google+ Pocket

ページ一覧

スポンサードリンク

管理人リンク

編集