第六段本文-3 赤心を証明するための誓約

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第六段本文-3 赤心を証明するための誓約

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原文

素戔鳴尊對曰「吾元無黑心。但父母已有嚴勅、將永就乎根国。如不與姉相見、吾何能敢去。是以、跋渉雲霧、遠自來參。不意、阿姉翻起嚴顏。」

于時、天照大神復問曰「若然者、將何以明爾之赤心也。」對曰「請與姉共誓。夫誓約之中(誓約之中、此云宇氣譬能美儺箇)必當生子。如吾所生是女者則可以爲有濁心、若是男者則可以爲有淸心。」

於是、天照大神、乃索取素戔鳴尊十握劒、打折爲三段、濯於天眞名井、噛然咀嚼(噛然咀嚼、此云佐我彌爾加武)而吹棄氣噴之狹霧(吹棄氣噴之狹霧、此云浮枳于都屢伊浮岐能佐擬理)所生神、號曰田心姫。次湍津姫、次市杵嶋姫、凡三女矣。
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現代語訳

第六段本文-3
スサノオは言いました。
「わたしには元から悪い心はありません。
ただ父と母(イザナギイザナミ?)から厳しい命令を受けて、これから永久に根の国に行こうと思っております。

姉(=アマテラス)と会わずにこの国から去れるでしょうか?? そこで雲や霧をかき分けて、遠いこの高天原までやってきたのです。

姉がこのように厳しい顔をしているとは思いもよりませんでした」

それに対してアマテラスは問い返しました。
「もしそうであるならば、清らかな心を持っていると、どうやって証明するのか??」

それに対してスサノオは答えました。
「それでは姉さんと共に誓約(ウケイ)をしましょう。誓約の中で子を生みましょう。わたしが生んだ子が女ならば邪心があると考えてください。もし私が生んだ子が男ならば、清らかな心だと考えてください」

それでアマテラススサノオが持っていた十拳釼(トツカノツルギ)を受け取り、これを三段に折って、天眞名井(アメノマナイ)の井戸水で濯(すす)いで清めて、カリカリと噛んで砕いてフっと噴出しました。すると生まれたのが
田心姫(タコリヒメ)
湍津姫(タギツヒメ
市杵嶋姫(イチキシマヒメ
の三姉妹です。

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解説

父と母
イザナミは死んだはずなのに、ここでは「父と母の命令(父母已有嚴勅)」と書いてあります。死んで無いのでしょうか?
赤心と書いて清らかな心
日本では赤は「魔を払う聖なる色」です。神社の鳥居が赤いのもそのせいです。では何故「赤」が「聖なる色」なのか? というと、これも南方系文化が関わってきます。

魏志倭人伝には日本人は肌に朱や丹を塗っていたとされます。これは紫外線および皮膚病を防ぐものです。アフリカの人が泥を体に塗っているのと同じことです。紫外線を防ぎ皮膚病を防ぎます。古代において病気は「魔物」が起こすものとされていましたので、魔を防ぐ「朱・丹」は「聖なるもの」とされたのが理由です。
誓約が成立する理由
日本は言霊の国です。言葉を発すると言うことはその言葉が「現実」になる可能性があります。つまり言葉が現実になるものほど神威が強いということになります。ということは神同志での争いには「言いあい」があります。宣言して実現した方が「強い」のです。

第五段一書(十)負けない!」ではイザナミが「別れましょう」と言うとイザナギは「負けない!」と答えます。別れましょうというのは意志の表明ではなく、現実化する可能性のある呪いのようなものだからです。だからこそ、その返答は「嫌だ」ではなく「負けない!」なのです。

個人的コラム

男か女か
古事記ではスサノオの持ち物から宗像三女神が生まれたことからスサノオの勝利とされましたが、元々は「男が生まれたからスサノオが勝ち」というのが筋書きのよう。

生まれた男神の一人の名前が「マサカツアカツカチハヤヒアメノオシホミミ神(正勝吾勝勝速日天之忍穂耳命)」と「勝」という字がこれでもか!と入っているところを見ると、男が勝利の証だったのでしょう。

古事記で女神が勝利の証とすり替えられたのは、古事記の成立時の天皇が女帝であったことや、アマテラスという女神を皇祖としたことと何か関係があるのかもしれません。
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