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六月乙未朔丁巳(二)高倉下の夢
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天皇獨與皇子手硏耳命、帥軍而進、至熊野荒坂津亦名丹敷浦、因誅丹敷戸畔者。時、神吐毒氣、人物咸瘁、由是、皇軍不能復振。時彼處有人、號曰熊野高倉下、忽夜夢、天照大神謂武甕雷神曰「夫葦原中国猶聞喧擾之響焉。(聞喧擾之響焉、此云左揶霓利奈離。)宜汝更往而征之。」武甕雷神對曰「雖予不行、而下予平国之劒、則国將自平矣。」天照大神曰「諾。(諾、此云宇毎那利。)」時武甕雷神、登謂高倉下曰「予劒號曰韴靈。(韴靈、此云赴屠能瀰哆磨。)今當置汝庫裏。宜取而獻之天孫。」高倉下曰「唯々」而寤之。明旦、依夢中教、開庫視之、果有落劒倒立於庫底板、卽取以進之。
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現代語訳
神武天皇は一人息子の手硏耳命(タギシノミミノミコト)と軍を率いて進み、熊野荒坂津(クマノアラサカツ)に到着しました。
そこで丹敷戸畔(ニシキトベ)という者を殺しました。
その時、神が毒を吐いて、兵士もモノも全部、病んでしまいました。これで、天皇の軍隊は元気がなくなりました。
この土地にある人が居ました。
その人の名前は熊野高倉下(クマノノタカクラジ)といいます。
熊野高倉下(クマノノタカクラジ)は夢を見ました。
夢の中で天照大神(アマテラスオオカミ)が武甕雷神(タケミカヅチ)に言っていました。
「その葦原中国(アシハラナカツクニ)はまだひどく騒がしく、乱れている。あなた(=タケミカヅチ)がまた行って静かにさせなさい」
武甕雷神(タケミカヅチ)は答えました。
「わたしが行かなくとも、わたしが国を平定した『剣』を降ろせば、すぐに国は静かになりますでしょう」
天照大神は言いました。
「そうするが良い」
武甕雷神(タケミカヅチ)は高倉に言いました。
「わたしのこの剣は名付けて韴靈(フツノミタマ)と言う。
今、この剣をお前の蔵の中に置いておく。
これを受け取って天孫に献上しなさい」
高倉下(タカクラジ)は言いました。
「はい。分かりました」
答えると、目が覚めました。
翌日に夢の教えのとおりに、蔵を開けてみると、おそらく天から落ちて来たとおぼしき「剣」が、蔵の床の板に突き刺さっていました。
すぐに剣を取って、神武天皇に献上しました。
別名を丹敷浦(ニシキノウラ)と言います
そこで丹敷戸畔(ニシキトベ)という者を殺しました。
その時、神が毒を吐いて、兵士もモノも全部、病んでしまいました。これで、天皇の軍隊は元気がなくなりました。
この土地にある人が居ました。
その人の名前は熊野高倉下(クマノノタカクラジ)といいます。
熊野高倉下(クマノノタカクラジ)は夢を見ました。
夢の中で天照大神(アマテラスオオカミ)が武甕雷神(タケミカヅチ)に言っていました。
「その葦原中国(アシハラナカツクニ)はまだひどく騒がしく、乱れている。あなた(=タケミカヅチ)がまた行って静かにさせなさい」
聞喧擾之響焉は左揶霓利奈離(サヤゲリナリ)と読みます。
武甕雷神(タケミカヅチ)は答えました。
「わたしが行かなくとも、わたしが国を平定した『剣』を降ろせば、すぐに国は静かになりますでしょう」
天照大神は言いました。
「そうするが良い」
諾は宇毎那利(ウベナリ)と読みます。
武甕雷神(タケミカヅチ)は高倉に言いました。
「わたしのこの剣は名付けて韴靈(フツノミタマ)と言う。
今、この剣をお前の蔵の中に置いておく。
これを受け取って天孫に献上しなさい」
韴靈は赴屠能瀰哆磨(フツノミタマ)といいます。
高倉下(タカクラジ)は言いました。
「はい。分かりました」
答えると、目が覚めました。
翌日に夢の教えのとおりに、蔵を開けてみると、おそらく天から落ちて来たとおぼしき「剣」が、蔵の床の板に突き刺さっていました。
すぐに剣を取って、神武天皇に献上しました。
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