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第九段一書(一)―3 石川片淵
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時、味耜高彦根、神光儀華艶、映于二丘二谷之間、故喪會者歌之曰、或云、味耜高彦根神之妹下照媛、欲令衆人知映丘谷者是味耜高彦根神、故歌之曰、
阿妹奈屢夜 乙登多奈婆多廼 汚奈餓勢屢 多磨廼彌素磨屢廼 阿奈陀磨波夜 彌多爾 輔柁和柁邏須 阿泥素企多伽避顧禰
又歌之曰、
阿磨佐箇屢 避奈菟謎廼 以和多邏素西渡 以嗣箇播箇柁輔智 箇多輔智爾 阿彌播利和柁嗣 妹慮豫嗣爾 豫嗣豫利據禰 以嗣箇播箇柁輔智
此兩首歌辭、今號夷曲。
阿妹奈屢夜 乙登多奈婆多廼 汚奈餓勢屢 多磨廼彌素磨屢廼 阿奈陀磨波夜 彌多爾 輔柁和柁邏須 阿泥素企多伽避顧禰
又歌之曰、
阿磨佐箇屢 避奈菟謎廼 以和多邏素西渡 以嗣箇播箇柁輔智 箇多輔智爾 阿彌播利和柁嗣 妹慮豫嗣爾 豫嗣豫利據禰 以嗣箇播箇柁輔智
此兩首歌辭、今號夷曲。
現代語訳
第九段一書(一)―3
(喪屋を斬った)味耜高彦根神(アジスキタカヒコネノカミ)はとても輝いていて麗しいほどで、二つの丘と二つの谷に渡って輝いていました。なので、葬式に参加したものが歌いました。
あまなるや(天なるや)
おとたなばたの(弟織女の)
うながせる(頸がせる)
たまのみすまるの(玉の御統の)
あなたまはや(穴玉はや)
みたに(み谷)
ふたわたらす(二渡らす)
あぢすきたかひこね(味耜高彦根)
また、歌いました。
あまさかる(天離る)
ひなつひめの(鄙つ女の)
いわたらすせと(い渡らす瀬戸)
いしかわかたふち(石川片淵)
かたふちに(片淵に)
あみはりわたくし(網張り渡し)
めろよしに(目ろ寄しに)
よしよりこね(寄し寄り来ね)
いしかわかたふち(石川片淵)
この二つの歌は夷曲(ヒナウタ)といいます。
(喪屋を斬った)味耜高彦根神(アジスキタカヒコネノカミ)はとても輝いていて麗しいほどで、二つの丘と二つの谷に渡って輝いていました。なので、葬式に参加したものが歌いました。
あまなるや(天なるや)
おとたなばたの(弟織女の)
うながせる(頸がせる)
たまのみすまるの(玉の御統の)
あなたまはや(穴玉はや)
みたに(み谷)
ふたわたらす(二渡らす)
あぢすきたかひこね(味耜高彦根)
訳
天の布を織る少女の首に掛けた勾玉の首飾りの玉が輝くように、谷を二つ越えるのは味耜高彦根です!
天の布を織る少女の首に掛けた勾玉の首飾りの玉が輝くように、谷を二つ越えるのは味耜高彦根です!
また、歌いました。
あまさかる(天離る)
ひなつひめの(鄙つ女の)
いわたらすせと(い渡らす瀬戸)
いしかわかたふち(石川片淵)
かたふちに(片淵に)
あみはりわたくし(網張り渡し)
めろよしに(目ろ寄しに)
よしよりこね(寄し寄り来ね)
いしかわかたふち(石川片淵)
訳
とても空気の澄んだ、天が高い片田舎の少女が川に行く。その川の淵(川の深いところ)。川の淵に網を張って、さかなを取る。網を引き寄せるよ。どんどん引くよ。川の淵で。
とても空気の澄んだ、天が高い片田舎の少女が川に行く。その川の淵(川の深いところ)。川の淵に網を張って、さかなを取る。網を引き寄せるよ。どんどん引くよ。川の淵で。
この二つの歌は夷曲(ヒナウタ)といいます。
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解説
なんだろう
最初の歌は分かる。
アジスキタカヒコネが飛んでいく様子を歌っている。元々は別の意味を持った歌謡曲なんだろうけども、一応は物語としても辻褄が合う。
でも二つ目の石川片淵の歌は物語上は関係なさそう。どういう意図があってねじ込んだのでしょう??
辻褄が合わないのに、入れたということは、それだけこの歌の意味が大きかったということなんでしょう。この第九段一書(一)を伝承した氏族にとって意味のある歌なんでしょう。
最初の歌は分かる。
アジスキタカヒコネが飛んでいく様子を歌っている。元々は別の意味を持った歌謡曲なんだろうけども、一応は物語としても辻褄が合う。
でも二つ目の石川片淵の歌は物語上は関係なさそう。どういう意図があってねじ込んだのでしょう??
辻褄が合わないのに、入れたということは、それだけこの歌の意味が大きかったということなんでしょう。この第九段一書(一)を伝承した氏族にとって意味のある歌なんでしょう。
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